#990 いつでも、どうぞ。
あなたのウエイトレスさんへの声かけが好き。
あなたと、レストラン。
新しくオープンしたばかりの地域。
話題なので、行列ができている。
レストランの本社経由で、予約してもらっている。
席について、メニューを渡されてから、しばらくの時間が流れる。
おいしそうなものが並んでいるので、迷った。
結構時間がかかったけど、それでも、まだオーダーをとりに来てもらえない。
私が、さんざん迷ったからか。
混んでいるからか。
オープンしたてで、オペレーションがまだできあがっていないからか。
そんな時も、あなたはむっとしない。
ニコニコしている。
メニューを持ってきてくれた女性と、あなたは目があった。
そして、優しく、言った。
「いつでも、オーダー、どうぞ」
ウエイトレスの彼女の顔に、微笑みが浮かんだ。
これが、あなたの言葉の優しさ。
周りのカップルの男性の声が、響いていた。
「まだですか」
「すいません」
「お願いします」
まあ、それが普通。
あなたは、知っている。
ウエイトレスの彼女が、オーダーを早く取りに行かないとと、ハラハラしていることを。
「すいません」も「まだですか」も、彼女が、気づいていないと思っている。
女心を、わかっていない。
重々、わかっている。
「お怒りではないかな」と、心配している。
あなたは、わかっている。
あなたは、彼女を、安心させた。
「いつでも」は、「後でも、いいよ」という気持ちだ。
それでいて、「オーダーは、決まりました」という情報も、入っている。
あなたの言葉は、気持ちが99%。
情報を、包み込んでくれている。
彼女の目に、ハートマークが広がっていた。





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