#993 屋根裏部屋の、隙間で。
あなたとの屋根裏部屋が好き。
あなたと、カフェ。
静かなお店。
2階にあるコーヒー専門店。
こんなところにあるなんて、気づかなかった。
こんなにいつも、通っていたのに。
お店に入ると、屋根裏部屋のような作り。
低い天井が、心地いい。
木の床の音が、そっと歩かせてくれる。
部屋が2つ。
「こちらの席へ、どうぞ」
お店のスタッフが、案内してくれる。
その席は、ちょうど、座りたい席だった。
席というより、隙間。
一人が座ると、ぴったりおさまる。
家だと、掃除機とかを、立てておきたいようなスペースだった。
そこに座ると、落ち着いた。
窓から、暖かい日差しが、差し込んでいる。
ランプのオレンジ色のシェード空の光が、優しい。
コーヒーの香りは、今淹れているのか、それとも、柱から漂うのか。
あなたと、焼き魚のランチを食べた後だった。
魚を食べると、コーヒーを飲みたくなる。
コーヒーを飲みたいと言ってないのに、あなたは、連れてきてくれた。
いきなりここは、パリの屋根裏部屋。
メニューを見た。
ココアもそそられたけど、ここはコーヒー専門店。
初志貫徹で、ブレンドのニレ。
香りから登場したニレは、ドリップコーヒーなのに、エスプレッソの深煎りだった。
あなたが、ミルクを頼んでくれた。
スタッフの男性が、ミルクを持ってきてくれた。
香ばしさと、甘さが、まるでデザートだった。
屋根裏部屋の隙間で、私は、建物の一部になっていた。
暖かい日差しと、あなたにくるまれて。