#998 クリエイターを、刺激して。
あなたがクリエイターを刺激するのが好き。
あなたと、イタリア家具の内覧会。
調度品も、イタリアっぽい。
左右非対称の花瓶。
2つ並んでいる。
実は、ふたつとも、同じ形。
角度によって、全く違うものになる。
3Dプリンターで作られた、とスタッフの女性が、説明してくれた。
樹脂とは思えない。
まるで、陶器のような質感がある。
ニットのような模様は、縄文式土器のようでもある。
陰影が、表情を生み出す。
あなたが、天井を見上げている。
きっと。
あなたは、口には出さないけど。
トップライトではなく、下から間接照明を当てたほうがいいと、想像しているにちがいない。
展示の演出を頼まれているわけではないのに、頼まれない演出を考えている。
あなたの、職業病。
明るいのは、イタリアの色を見せるためか。
あなたは、もっと色気のある想像をしている。
この花器に。
あなたは、どんな花を活けるかは考えていない。
あなたは、花以外の何を入れるかを、考えている。
トラッシュボックスが、あった。
あなたは、おしゃれなゴミ箱ですら、ゴミを入れない。
千利休だったら、こうするだろうと、考えている。
何も、頼まれていないのに。
今回のキービジュアルのソファーが、置かれていた。
ゲストが、次々に座って、オフィシャルカメラマンが、記念撮影していた。
勧められて、あなたが座った。
カメラマンが、「おやっ」という顔をした。
あなたが、あまりにも、自然に座ったから。
まるで、自宅にあるソファーに座るように。
カメラマンは、カメラを何台も変えながら、撮影した。
あなたは、クリエイターの想像力も、刺激する。