作家で太宰治(本名・津島修二=つしましゅうじ)の次女、津島佑子(つしまゆうこ、本名・里子=さとこ)さんが、18日午後肺がんで都内の病院で死去した。68歳。葬儀は近親者で営み、喪主は長女の長女香以(かい)さん。
※画像はNHK NEWSWEBより
津島佑子さんは太宰治の次女として1947年3月に東京都三鷹市で生まれる。白百合女子大英文科在学中に同人雑誌「文芸首都」に参加し、69年「レクイエム」でデビュー。72年に「狐(きつね)を孕(はら)む」が芥川賞候補となり、同賞を熱望しながら受賞できなかった父太宰を引き合いに「亡き父のかたきを取るチャンス」などと世間の話題になった。作家の太田治子さんは異母妹。
代表作として「火の山--山猿記」が母方の一族をモデルにした作品で、98年の谷崎潤一郎賞と野間文芸賞をダブル受賞し、NHK連続テレビ小説「純情きらり」(2006年)の原案にもなった。
3年前には、戦後占領期に米兵が日本人との間に残した孤児らの視点で原爆や福島原発事故の責任を描いた「ヤマネコ・ドーム」を発表し高い評価を得た。
昨年1月に肺がんと診断され、闘病しつつ「父をテーマに書く」と準備を進めていたという。