すぐに生活や仕事に役立つ知識をくれるわけではなく、
心が波立つときにただ寄り添ってくれて、
心を落ち着けてくれるというのも本の大切な役割だと思う。
よしもとばななさんの「すばらしい日々」はまさに、
そういう本で、読んでいると、ばななさんの優しくて
柔らかい言葉が、心に流れ込んでくる。
輝かしい功績のある人でも、毎日が輝かしいわけではない。
誰もが良くも悪くも人間らしさを抱えていて、
老いや別れは誰のどんな人生にもつきまとう。
そんな当たり前のことをしんしんと気づかせてくれ、
読後は目の前の日常の愛おしさに改めて感謝したくなる。
(次回3月22日掲載予定)