#141 私というお庭を、巡って

 あなたと、お庭を歩くのが、好き。
 お庭が好きな、あなたが好き。
 お庭を歩くのが好きな、あなたが好き。
 男の子は、お庭が好きじゃない。
 入り口で、ちらっと見ただけで、満足してしまう。
 退屈が始まる。
 あなたと、お庭を歩く。
 池を中心に、巡っていく。
 そうしながら、いろんなことを妄想する。
 実際の風景を見ながら、そこにはないものを妄想するのが、楽しい。
 お庭は、死角がいっぱい。
 昔の貴族は、この陰で、愛を語らいあったのだろう。
 あなたとお庭を歩いていると、昔の貴族になった気がする。
 木陰に入っちゃいけない気がする。
 恋人同士の邪魔をしちゃいそうだから。
 お庭は、セクシー。
 まさに、恋人たちのためにある。
 水の音がする。
 小さな滝がある。
 せせらぎの音もする。
 かわいい橋が、違うデザインで架かっている。
 よろけそうになっているのも、女の子のために設計されている。
 シャイな女の子でも、好きな人の手を握るために。
 池は、「心」という字の形になっていると、あなたは教えてくれた。
 見る角度で、まったく違う景色が現れる。
 お庭は、大人の世界。
 子供は、禁止にしないと。
 だんだん、お庭全体が女性の身体に見えてきた。
 お庭という私の身体を、あなたに巡ってもらっている。
 水のあふれる音がした。

 

~次回は1月8日(金)更新予定です~



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