#144 一緒に座って並んで

 あなたと、並んでいるのが好き。
 暑くても、寒くても、気にならない。
 暑い季節も、楽しい。
 寒い季節も、楽しい。
 気持ちのいい季節も、いい。
 道に面したレストランの前の椅子に、並んで座る。
 くっついて、お話をする。
 いい匂いがしてくる。
 待ち時間が、何時間でも平気。
 むしろ、この待ち時間が、もっと長ければいいのにと思っています。
「どうぞ」とお店の人に言われると、「あ、もうちょっと、こうしていたかったな」と感じてしまうくらい。
 まわりに、カップルがたくさんいる。
 通りを歩いている人もいる。
 なのに。
 あなたといると、まるで、別世界になる。
 道に面したレストランの前のウエイティングの椅子に座っているのに、ベッドの中にいるみたいな感じ。
 腕枕で、お話をしているみたい。
 あなたの、かすかに微笑みながらお話をする表情が、好き。
 大げさに笑うわけでもなく、かといって、無表情でもない。
 かすかに、笑っている。
 弥勒菩薩のアルカイック・スマイルみたい。
 少しずつ、席が前に進んでいく。
 いい匂いが、近づいてきた。
 お腹が鳴った。
 でも、もっと、あなたとこうして座っていたい。
 道の向かいにコンビニができたけど、あなたといると、パリのサンジェルマン・デプレに座っている気がする。
 もうすぐ、ギャルソンに呼ばれてしまう。

 

~次回は1月18日(月)更新予定です~



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