#150 立ち上る湯気に、抱かれる

雪の中を、一緒に歩くのが好き。
雪に、なった。
静かな朝。
雪の中を、あなたと歩く。
手をつなぐ。
街の景色が、海外のようになる。
雪の匂いがする。
呼吸が、冷たい。
なのに、体がポカポカしている。
あなたの手が温かい。
温かいを通り越して、熱い。
携帯カイロを持っているのかと思った。
あなたの身体から、湯気が立っている。
かげろうが立っている。
あなたに、雪の中で、愛されるところを想像した。
あなたの唇を、感じる。
いつにもまして、あなたの唇が、温かい。
まだ、唇が当たっていないのに、あなたの唇の温かさが、私の唇に伝わってくる。
遠赤外線効果みたい。
こんな雪の中なのに、あなたの彫刻のような裸体を思い浮かべた。
あなたは、こんな寒い日でも、脊中を丸めない。
まるで、春の日差しの中を歩くように、脊筋を伸ばして歩いている。
サラブレッドが、軽快に疾走するように。
あなたを見ていると、寒いのか、暑いのかが、まったくわからない。
気づいた。
あなたは、雪の中だから、湯気が立っているのではない。
あなたの身体からは、いつも湯気が立っている。
雪だから、気づいただけだ。
あなたの身体から立ち上る湯気に、包まれるのが好き。

 

 

~次回は2月8日(月)更新予定です~



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