#165 余韻を、服に封じ込める
あなたに、愛されたあと、服を着るのが好き。
まだ、余韻がある。
脱ぐ時は、予感。
着る時は、余韻。
肌に、1枚何か着たようなほてりを感じる。
肌が、敏感になっている。
何かが当たるだけで、感じる。
肌が、微妙に震えている感じがする。
服が、振動しているように感じるのは、肌が振動しているからに違いない。
振動も味わいたい。
でも、私は、さっと服を着る。
あなたの余韻を、逃がさないように、封じ込めたいから。
ゆうべ、あなたとお寿司屋さんに行った。
カウンターに座って、板前さんが、マグロを切るたびに、1回1回、丁寧に、さらしで巻いているのを見た。
少しでも、空気に触れて、酸化させないためらしい。
板前さんが、マグロを大切にしているのを、感じた。
私は、あなたにかわいがられているマグロ。
1回ごとに、丁寧に、さらしに巻いてもらっている。
だから、私は、さっと服を着る。
肌と、服の間に、あなたの香りがする。
温かい。
まだ、あなたに抱かれている感じ。
感じだけではなく、あなたは実際に、まだ抱いてくれている。
鏡に映る顔が、紅潮している。
ブラの裏地が、乳首に触れた。
思わず、声が出そうになった。
お待たせ。
出かける予定の1分前。
あなたは、私のスカートをまくりあげた。