#166 二両編成の電車に乗って
あなたと、旅に出るのが好き。
初めて乗る路線。
知らない駅名。
まるで、外国に来た気分。
どこに向かっているのかも、わからない。
電車は、二両編成。
車掌さんはいなくて、運転手さんが1人いるだけ。
改札も、なかった。
バスに乗る時のように、整理券を取った。
場所どころか、時代もわからなくなる。
夢の中の電車に乗っているみたいだった。
ひょっとしたら、夢かもしれない。
こんなところにも、住んでいる人がいる。
乗ってくる人がいて、降りていく人がいる。
「こんなところにも」、なんて失礼な言い方ね。
降りた人は、どこに行くんだろうと、考えてしまった。
あなたと2人なら、どこにでも行く。
あなたとオシャレな街に2人でいるより、二両編成の電車に乗っているのが、楽しかった。
なぜだか、ちょっと、エッチな気分になった。
気がつくと、乗客は、3人だけになっていた。
あなたと私と、もう1人。
こんな山の中なのに、かわいい女の子。
年は、私と同じくらい。
都会にはいない昭和な美人。
ドキドキしているのは、どうしてだろう。
私は、あなたの太股を触っていた。
触っている手が、どんどん上に上がった。
車掌さんが別の車両にいるのを確認したのは、もう、私がエッチな気分になっているからだった。
二両編成っていう言葉が、もうエッチに聞こえてきた。