#167 あなたの体温に、包まれて
あなたの、コートが好き。
この季節は、着るものが難しい。
お昼は暖かいけど、夜は、まだ寒い。
お昼用の格好をしていくと、夜寒い。
夜用の格好をしていくと、昼、暑苦しい。
今日は、あなたと朝から一緒。
うれしい。
こういう日が、難しい。
朝も、お昼も、夜も、一緒。
時間ごとの天気予報で、温度を調べた。
朝、出かける時に、スプリングコートをいったん着たけど、玄関で、やっぱり脱いだ。
朝のうちは、日が当たって、気持ちよかった。
正解。
夜になって、日が沈むと、一気に寒くなった。
冬よりも、風が冷たく感じた。
やっぱり、着てくればよかった。
あなたは、オシャレなスプリングコートを着ている。
昼間も、暑苦しそうでなかった。
あなたと一緒に、晩ご飯を食べ終わって、外に出た。
車に乗るまでの辛抱。
信号待ちをしている時、ふわりと暖かくなった。
あなたが、自分の着ていたスプリングコートを、かけてくれた。
まるで、あなたに抱きしめられているような暖かさだった。
あなたの体温が伝わる。
あなたは、私にかけるために、一日、着てくれていたのね。
スーツだけになっても、あなたはちっとも寒そうにしないのが、好き。
やっぱり、スプリングコート、着てこなくて、正解だった。