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#173 黙りながら、話す

あなたと、黙っている時間が好き。
あなたと、ご飯を、食べている。
隣のカップルは、ずっと話している。
あなたと私は、黙っている。
決して、不機嫌なのではない。
ごきげんで、黙っている。
ごきげんでお話をするのは、簡単。
ごきげんで、黙っている状態になるのは、上級レベル。
「ああ、おいしいなあ」と、つぶやいている。
「あなたと、一緒に食べることができて、楽しくて、幸せ」と話している。
心の中で。
一緒に、電車に、黙って乗っている。
ご機嫌に、黙って乗っている。
黙って乗っているけど、心の中では、楽しいなと感じている。
黙っている感じがしない。
ずっと、お話ししている感じがする。
ただ、まわりの人が見たら、声が出ていないだけにすぎない。
あなたと一緒に、黙って歩いている。
あまりにも、あなたと話すことがたくさんありすぎて、声に出すのが、間に合わない。
声では、10しか話せないけど、あなたと私は、100話している。
回転してるコマが、止まって見えるみたい。
ベッドの中で、あなたに抱きしめられる。
「気持ちいい」って、いっぱい叫びたい。
あまりにもたくさん叫びたいから、いつのまにか、黙っているようになる。
何度も、何度も、いきすぎて、ずっといってる状態になっている。
それと似ている。
この感覚は、あなたにかわいがられた女の子しか、わからない。
と、腕の中で、話している。



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