#174 あなたに、めくり返されたい
あなたに、広げてもらうのが、好き。
あなたに、抱きしめられる。
あなたは、包みこんでくれる。
それも、好き。
と同時に、あなたは、私を広げてくれる。
あなたが、手のひらをマッサージしてくれた。
両手で、私の親指と、小指を挟んで、手のひらを、裏返すように広げてくれる。
縮こまっていた手のひらが、広げられるのが、気持ちいい。
親指の付け根の母指丘を、もんでくれる。
小指の付け根の小指丘を、もんでくれる。
手のひらをもんでもらっているだけなのに、体中をマッサージしてもらっているみたいに、気持ちいい。
全身の血流が、流れ出す。
今まで、血が止まっていた気がする。
左の瞼が、持ちあがって、左の視界が広くなった。
体中がこわばって、左の瞼が落ちて、視野が狭くなっていたことに、あなたに広げてもらって、初めて気づいた。
私の手のひらが、あなたに広げられる。
もっと、もっと、広げられたい。
めくり返すくらい、広げてもらいたい。
右手が終わると、今度は、左手を同じように広げてくれる。
私は、あなたに、広げられるのを通り越して、めくり返されている。
この感覚は、デジャヴがある。
あなたが、私の中に、入ってくる。
あまりにも、大きすぎて、私の中が、きしむ。
あなたは、大きな両手で、私のお尻から、広げてくれる。
あなたに広げてもらうと、あんなに大きなあなたが、私の中に、なじんでいく。
このなじんでいく感覚が、たまらない。
あなたは、広げるのを通り越して、私の身体をめくり返してくれている。
今まで、閉じていたものが、あなたにめくり返されて、開いていく。
花びらが、開くように。