#178 真空で、密着

あなたの、密着感が、好き。
空気の隙間もなく、あなたと密着している感じがする。
あなたに、抱きついた。
あなたは、受け止めて、抱き締めてくれた。
パフッ。
空気が、押し出される音がした。
あなたの肌と、私の肌の間にある空気を追い出した音。
この感覚、どこかで感じたことがある。
思い出した。
今日、ヒールを買いに行った。
お気に入りのヒールを見つけた。
足を入れてみた。
その時、パフッという音がした。
その後、靴全体が、私を受け入れてくれた。
靴が、私の足に吸い付いてくる感じだった。
「いい音が、しましたね」
美人の店員さんが、微笑んだ。
「久しぶりに、こんないい音を聞きました」
これは、いいことなんですか。
「足に、ジャストになっているということですね」
今、ベッドの横に並んでいるのが、そのヒール。
あなたに抱き締められた時、ジャストサイズの「パフッ」が聞こえた。
あなたの肌が、私の肌に吸い付いてきた。
私の肌が、あなたの肌に、吸い付かれている。
吸い付いてくるような肌って、こんな感じ。
毛穴の空気まで、追い出されている。
肌のきめの間のわずかな空気まで、追い出されている。
真空になった肌のきめが、あなたを吸い寄せる。
離そうとすると、反発感を感じる。
ぴったりくっついて、離れなくなった。



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