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#184 服の、上から

出かける前の、キスが好き。
出かける支度をした。
かっちりとした、スーツに着替えた。
どんなに急いでいる時でも、あなたは抱きしめてくれる。
そのほんの数秒が、至福の時。
私は、スーツを着ている。
あなたも、スーツを着ている。
抱きしめられると、スーツを着ていることを、忘れてしまう。
あなたが、入ってくる。
えっ、いつ脱がされたの。
目を開けて、確認したい。
ストッキングも、はいたはず。
ストッキングも、パンツも、脱いでいないはず。
なのに、あなたが入ってくる感覚が、はっきりわかる。
1回、2回、3回、あっ……。
いってしまった。
3回で、いってしまった。
ウソをつきました。
本当は、2回半で、いきました。
あなたが、ダンスのように、私の身体をくるりと回転させる。
今度は、後ろから、抱きしめる。
後ろから、入ってくる。
あ、今、脱がされたかどうか、確認するのを忘れた。
でも、確実に、脱いでいないはず。
スカートの上から、あなたの身体が当たっている。
なのに、あなたの身体が、私の中に入ってくる。
1回、2回、あっ……。
今度は、2回、もたなかった。
1回で、いってしまった。
また、くるりとスピンして、正面に。
唇に、キス。
あっ……。
1回、もたなかった。



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