#187 あなたの翼の下が、好き
あなたの腋(わき)の下が、好き。
あなたに会う。
あなたは、両手を広げて、私を迎え入れてくれる。
私は、あなたの胸の中に、飛び込む。
私の両手は、あなたの厚い胸の両脇に、吸い込まれていく。
私が、入れているのではない。
あなたの腋の下が、私の両手を吸いこんでいく。
あなたの腋の下には、風が吹いている。
さっき、外であなたを見ている時、感じた。
外は、暑かった。
真夏日になると、天気予報が、何度も伝えていた。
風ひとつなかった。
まわりにいる人は、みんな暑そうな顔をしていた。
あなたの腋の下に、風が吹いていた。
あなたは、どんなに暑くても、汗をかかない。
涼しげな顔をして、微笑んでいる。
その理由は、あなたの腋の下に、いつも風が吹いているからなのね。
まるで、私の腕が入るために作られたような、腋の下に、私の腕が吸い込まれていく。
ここが、好き。
どこまでも、どこまで、私の腕が吸い込まれて、どこかに伸びていく。
あなたの胸の厚みを感じる。
風を、感じる。
私の身体が、軽くなっていくのがわかる。
私が手を入れているのは、腋の下ではなかった。
あなたの、翼の下だった。