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#190 暗闇でも、ドンピシャなキス

 暗闇で、あなたとキスをするのが好き。
 電気をすべて消す。
 カーテンの隙間からも、入らない。
 小さいデジタルの明かりも、入らない。
 そんな宇宙の暗闇の中で、あなたとキスをする。
 不思議。
 あなたは、まるで、明るい時にするのと同じように、私の唇を探し当てる。
 探している気配もない。
 まっすぐ、私の唇の真ん中を捕らえてくれる。
 なんで、わかるのかな。
 私は、あなたの唇を探さなくても、大丈夫。
 自然にしていれば、あなたが見つけてくれる。
 ひょっとして。
 暗い中で見つけられるのではなくて、明るい時にも、目で唇を探しているのではないのかもしれない。
 あなたの感覚器官は、あなたの体中に、散らばっている。
 体中に、目がある。
 暗い中でも働く、触角が、全身にある。
 あなたの透き通る目は、女の子の鑑賞用にある。
 見るためではなく、見られるためにあるのね。
 暗闇でも、迷わずキスができれば、それが運命の人らしい。
 とっくに、運命の人だった。
 ベッドサイドのランプを消す。
 まっくら。
「おやすみ」
「おやすみ」
 何気なしにしているけど、やっぱり、私の運命の人は、唇の一番してほしいところに、おやすみのキスをしてくれた。



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