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4TEEN

石田衣良の4TEEN フォーティーン直木賞受賞作品

4TEEN フォーティーン 直木賞受賞作品

著者 ページ数 クチコミ評判
石田衣良 329ページ ★★★★

『4TEEN フォーティーン』は石田衣良氏の直木賞受賞作です。8章から成る連作短編小説で構成されています。14歳という多感な年頃の少年たちの友情を描いたハートフルな内容でありながら、社会的な問題にも迫った意欲作です。『4TEEN フォーティーン』は悩みを抱えた少年達の物語です。秀才の少年は勉強に疲れ果て、出会い系サイトに手を出します。そこで知り合ったのは家庭持ちの女性です。彼女もまた金持ちで仕事一筋の夫との生活に疲れ果てています。経済成長や効率主義を優先するあまり蔑ろにされた社会的弱者の問題が浮き彫りになります。

またある少年は不良グループに入りますが、仲間の友情によって救い出されます。しかし救出の過程に大人は出てきません。子供達の問題を積極的に解決しないどころか関心すら持ってくれない大人達への風刺と、社会の闇の根深さが描かれます。

主人公は不登校の少女と恋をします。少女は拒食と過食を繰り返しながらも、主人公とその仲間達の温かい支えによって次第に回復していきます。また最終章で少年達は旅に出ますが、その道中で望まない妊娠をしてしまった少女と出会います。ある少年は少女に恋をし結婚してその子どもの父親になることを申し出ます。作中で最も重く、同時に最も感動的な場面です。

『4TEEN フォーティーン』は社会的テーマを描きながらも愛や友情を賛美し、楽しいエンターテイメントに仕上がっています。



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