『ボートハウスの奇跡 一枚のトレーナーに込められた夢』(著=下山好誼)、先行連載の第2話目。
前回は、
第1話
『ジョイマーク・デザイン号のあけぼのへ』下山キャプテンの夢の船出に迫る
をお送りした。
前回は、著者自身の夢が発芽し、実が成るまでの過程を辿った。
アメリカ東海岸の文化に触発され、アイデンティティを形成した氏は自身のブランドにも投影する。
そのブランドとは、1979年に産声をあげる『ボートハウス』だ。
『ボートハウス』はこれまでずっと、実直にファッション業界を走り続けている。
ここで一つの疑問が浮かぶ。
ファッション業界に詳しくないひとでも、一寸先は闇という印象をお持ちではないだろうか?
なぜ先が見えない業界に身を置きながらも、信念をブレずに、曲げずに『ジョイマーク・デザイン』号は、航海を続けることができたのか?
第2話目の今回は
『ジョイマーク・デザイン 変わらないモノ 変わらないコト』
大きな帆を張っている『ジョイマーク・デザイン』号が、時代に左右されず航海を続けている秘訣とは。
その答えを、今回は追っていくことにする。
以下、『ボートハウスの奇跡 一枚のトレーナーに込められた夢』より引用抜粋
僕自身にも異常に思えたあの頃の熱狂を覚えていて、『BOAT HOUSE』はどうなってしまったんだろうと考えている人は多いだろう。もちろん、あんな異常なブームは何十年も続くものじゃないとはみんなわかっていても、もうなくなってしまったと思われているんじゃないかな。
とんでもない! 僕の夢は現在進行形だ。今もたくさんの人に助けられ、ワクワクしながら好きな服づくりについて考えているし形にしている。
マスコミでもさかんに取り上げられた大ブームは、自分が狙ったものではまったくなかった。だから僕は、店の前に行列ができなくたって一向に構わない。
ただ、あのときに日本中から注目されたおかげで僕のブランドを多くの人に知ってもらえたことは、本当にありがたいことだった。あれ以来、「着たい!」「心地いい!」とずっと選び続けてくださるお客さまが少なくないからだ。
今はマスコミの派手な取材を受けたり店舗を拡大したりするようなことはないけれど、そういう長年のファンの方々に支えられている。ずっと変わらずにアメリカや海への憧れを服づくりに込めてきたから、ファンのみなさんもずっと変わらずに好きでいてくださる。本当にありがたい。
これから先は『BOAT HOUSE』はもちろんのこと、僕自身をキャラクターに投影した『CAPTAIN SANTA』も、若い世代にもまた選ばれるブランドにしていきたい。赤ちゃんからおしゃれなシニアまで、どの世代にも着こなせるファッションであるはずだから。
今、僕の好奇心は自分のブランドの物語を幅広い世代に伝えることに向いている。
落ち着いてなんかいられない! 岡山を飛び出してきた15歳の頃と同じように、新鮮な気持ちでブランドを育てていく。
僕が夢を失くさずにずっと楽しみ続けることこそ、これまでも今も、そしてこれからも支えてくれる大切な家族や社員、友人たちへの恩返しになるはずだ。キャプテンとして、クルーのみんなと一緒に夢を分かち合っていきたい。
次回、
『VANとの邂逅 ジョイマーク・デザインのルーツ』
明日(9/1)公開予定。
「続きが読みたい!」「本を購入したい」かたはこちらから
2017年9月4日発売予定。全国主要書店さんにてお買い求めください。
■著者プロフィール
下山好誼(しもやま・よしみ)
1947年岡山県生まれ。東京デザイナー学院を卒業後、1969年に22歳でジョイマーク・デザイン社を設立。 1979年には『BOAT HOUSE』を発表し社会現象とまで言われた一大ブームを生み出す。その後も様々なブランドをリリースするが、アメリカ、海、トラディショナルスタイルをキーワードとするライフスタイルの提案は、いちアパレルブランドのデザイナーと言う枠に留まらない活動へと繋がっている。
■著書紹介
<内容紹介>
1980年代、当時一世を風靡するほどの一大ブームを巻き起こした
アパレルブランド「BOAT HOUSE」を生んだ、ジョイマーク・デザイン株式会社社長・下山好誼氏、初の自伝エッセイ。
「キャプテン」という愛称で、ファンに長く愛され続ける下山氏。
世代を超えて愛されるブランド「ボートハウス」「キャプテンサンタ」をつくり上げるまで、成し遂げてきた仕事の軌跡とそのルーツをたどる。心からアイビーファッションを愛し、「ブルートラディショナル」を生み、時代の寵児と言えるだろうキャプテンのすべて!