『ボートハウスの奇跡 一枚のトレーナーに込められた夢』(著=下山好誼)、先行連載の第4話目。
前回は、
第3話
『VANとの邂逅 下山好誼のルーツ』
をお送りした。
『VAN』と故石津謙介氏が、著者に与えた影響は大きい。
『ジョイマーク・デザイン』は、この2つの意志を継承している。
この意志を著者は、自身のプロダクトにどのように昇華させたのか?
今回は、著者の洋服に対するお考えや、洋服を通じて伝えたいことを探る。
第4話
『ハッピーの共鳴 下山好誼の仕事とは』
以下、『ボートハウスの奇跡 一枚のトレーナーに込められた夢』より引用抜粋
最初のブランドである『OREGON』はサーフィンに夢中だった頃につくったのだが、有名なサーフポイントがあるアメリカのオレゴンのイメージを形にしたもの。『SUNDAY BEACH』も、サーフィンをやっている自分が「こんな服があったらいいな」と思ってつくった。
石津先生が日本に持ち込んだアメリカのトラッドを、海をステージに表現したいと思ったことから〝BLUE TRADITIONAL〟というコンセプトが姿を見せ、そこから着心地のよいトレーナーを中心とした『BOAT HOUSE』が生まれた。『BOAT HOUSE』の誕生から2年、大人になっていくファンと共に歩み続けるために、もう少し正統派のトラッドファッションのブランド『BOAT HOUSE CLUB』もつくった。
さらにブランドが成熟していくにつれ、年齢を問わず赤ちゃんからシニアまで楽しめるファッションを目指すようになって『CAPTAIN SANTA』をつくった。自分自身を投影したサンタクロースのキャラクターで、物語を紡ぎたいと思って考えたブランドだ。
世の中の流行をリサーチして売れそうな服をつくることは、もちろんできる。でも、そういうやり方は僕の好みではない。
楽しくて、つくりながらエネルギーが湧いてくる。そんな服が、結果的に人から支持されると思う。商品を手に取ったとき、きっとお客さまに明るくハッピーなエネルギーは伝わるはずだから。苦しみながらつくられたとか、リサーチの結果として進められたプロジェクトとか、そんなものを手にしてもちっともワクワクしないんじゃないかな。
社員にも、「苦しみながらやっちゃダメ」と言っている。その成果なのか、サーフィンをやって真っ黒に日焼けしている社員もいて、「僕の想いはちゃんと伝わっているな」と嬉しい限りだ(笑)。
ハッピーな僕とクルーたちがつくるハッピーな服を、ひとりでも多くの人に届けたいと思う。
次回、
『アメリカへの憧れ 下山好誼の原風景』
明日(9/3)公開予定。
「続きが読みたい!」「本を購入したい」かたはこちらから
2017年9月4日発売予定。全国主要書店さんにてお買い求めください。
■著者プロフィール
下山好誼(しもやま・よしみ)
1947年岡山県生まれ。東京デザイナー学院を卒業後、1969年に22歳でジョイマーク・デザイン社を設立。 1979年には『BOAT HOUSE』を発表し社会現象とまで言われた一大ブームを生み出す。その後も様々なブランドをリリースするが、アメリカ、海、トラディショナルスタイルをキーワードとするライフスタイルの提案は、いちアパレルブランドのデザイナーと言う枠に留まらない活動へと繋がっている。
■著書紹介
<内容紹介>
1980年代、当時一世を風靡するほどの一大ブームを巻き起こした
アパレルブランド「BOAT HOUSE」を生んだ、ジョイマーク・デザイン株式会社社長・下山好誼氏、初の自伝エッセイ。
「キャプテン」という愛称で、ファンに長く愛され続ける下山氏。
世代を超えて愛されるブランド「ボートハウス」「キャプテンサンタ」をつくり上げるまで、成し遂げてきた仕事の軌跡とそのルーツをたどる。心からアイビーファッションを愛し、「ブルートラディショナル」を生み、時代の寵児と言えるだろうキャプテンのすべて!