『ボートハウスの奇跡 一枚のトレーナーに込められた夢』(著=下山好誼)、先行連載の第5話目。
前回は、
第4話
『ハッピーの共鳴 下山好誼の仕事とは』
をお送りした。
前回は、著者の仕事への考え方、ブランドへのこだわりに迫った。
ここまで読まれた方は、薄々お気づきかもしれないが、著者が影響を受けたのは『VAN』の故石津謙介氏だけではない。
著者は、その石津氏が日本で伝えた「アメリカ文化」そのものへの憧れこそが、人生の一部となり、仕事への情熱の源になった。
今回は、そんな著者の原風景でもある「アメリカ文化」がどんなものだったかを解明する。
第5話
『アメリカへの憧れ 下山好誼の原風景』
以下、『ボートハウスの奇跡 一枚のトレーナーに込められた夢』より引用抜粋
僕のスタイルは、ずっと変わっていない。服も、センスも、信念も。
ずっとアメリカに憧れている。
僕が最初に触れたアメリカは、日本がまだ戦後を引きずっている頃に豊かさを謳歌していた国だ。人々は明るく、カッコよく、エネルギーに満ちあふれていた。
今は当時に比べれば、アメリカと日本に大きな差はないかもしれない。でも、やっぱり僕にとってのアメリカは憧れの対象のままだ。
あるとき、ニューヨークで飲んだコカ・コーラの空き缶を、ホテルできれいに洗って取っておいた。コカ・コーラはアメリカ生まれのアメリカらしい飲み物だから、なんとなく缶を捨てがたくてそばに置いておきたかったからだ。それが、今のコカ・コーラ大コレクションのはじめの一歩になった。
毎年のように缶のデザインを変えるコカ・コーラのセンスに惹かれて、缶だけでなくいろいろと集めるようになって、今のコレクションがある。
ディズニー関連グッズも、できる限り集めてきた。ディズニーは、アメリカらしい明るく陽気なキャラクターたちが本当に魅力的だ。コレクション歴はコカ・コーラよりはずっと短いけれど、コレクターとして知らぬ人がいないほど世界中の人に認知されている。アメリカのキャラクターに囲まれていると、元気が出てくる。
会社の僕の部屋には、コカ・コーラとディズニーのコレクションがところ狭しと並べられている。それでも場所が足りなくて、ボートハウスの本店に展示コーナーをつくり、さらに倉庫にもたくさんしまってあるという状況なのだ。
圧倒的なアメリカらしさを常に感じ取ることができる環境は、僕の創作に対するモチベーションを上げてくれる。
次回、
『ぶれないスタイルと信念 仕事への原動力』
明日(9/4)公開予定。
「続きが読みたい!」「本を購入したい」かたはこちらから
2017年9月4日発売予定。全国主要書店さんにてお買い求めください。
■著者プロフィール
下山好誼(しもやま・よしみ)
1947年岡山県生まれ。東京デザイナー学院を卒業後、1969年に22歳でジョイマーク・デザイン社を設立。 1979年には『BOAT HOUSE』を発表し社会現象とまで言われた一大ブームを生み出す。その後も様々なブランドをリリースするが、アメリカ、海、トラディショナルスタイルをキーワードとするライフスタイルの提案は、いちアパレルブランドのデザイナーと言う枠に留まらない活動へと繋がっている。
■著書紹介
<内容紹介>
1980年代、当時一世を風靡するほどの一大ブームを巻き起こした
アパレルブランド「BOAT HOUSE」を生んだ、ジョイマーク・デザイン株式会社社長・下山好誼氏、初の自伝エッセイ。
「キャプテン」という愛称で、ファンに長く愛され続ける下山氏。
世代を超えて愛されるブランド「ボートハウス」「キャプテンサンタ」をつくり上げるまで、成し遂げてきた仕事の軌跡とそのルーツをたどる。心からアイビーファッションを愛し、「ブルートラディショナル」を生み、時代の寵児と言えるだろうキャプテンのすべて!