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【集中連載】『ジョイマーク・デザイン号の未来』

ボートハウスの奇跡 一枚のトレーナーに込められた夢

【集中連載】『ジョイマーク・デザイン号の未来』

2017年9月4日

ボートハウスの奇跡 一枚のトレーナーに込められた夢』(著=下山好誼)、先行連載の最終話。

『ボートハウスの奇跡 一枚のトレーナーに込められた夢』連載一覧

● 第6話 『ぶれないスタイルと信念 仕事への原動力』
● 第5話 『アメリカへの憧れ 下山好誼の原風景』
● 第4話 『ハッピーの共鳴 下山好誼の仕事とは』
● 第3話 『VANとの邂逅 下山好誼のルーツ』
● 第2話 『ジョイマーク・デザイン 変わらないモノ 変わらないコト』
● 第1話 『ジョイマーク・デザイン号のあけぼのへ』下山キャプテンの夢の船出に迫る

前回は、

第6話

『ぶれないスタイルと信念 仕事への原動力』

をお送りした。

前回は、著者の哲学について触れた。
以下の箇所が、印象深い。著者はこう語る。
「進化はしたいと思うが、スタイルも信念も決してぶれない。エプロンをつくっていたときも、社会現象としてマスコミにこぞって取り上げられたときも、まったく同じようにただ好きなことを追い求めてきた。好奇心のおもむくままに楽しんできた。これからも、決して変わることはない。」と。

好きなこと”だけ”で生きていくことは、平易ではない。それは経営者に限らず、一サラリーマンも同じだ。
だが、著者は「ただ好きなことを追い求めてきた」と語るように、時代の潮流は変われど、著者のメインマストは折れない。折らない。

著者は『ジョイマーク・デザイン』号のキャプテンとして、ファッション業界という大海原で、何を見たのか? 何を感じたのか?
今回、お送りする最終話にその全てが語られている。
逆説的ではあるが、今回お送りする最終話をご覧になって、1話、2話……、と読み進めると、各話で散りばめられているメソッドをより深く知ることができると思う。

それでは、最後の航海へ!

最終話

『ジョイマーク・デザイン号の未来』

以下、『ボートハウスの奇跡 一枚のトレーナーに込められた夢』より引用抜粋

ファッションは、人の想像をはるかに超えて独り歩きする。そしていつか、コントロールできなくなってしまう。僕はそれを、ボートハウスから学んだ。
ボートハウスは、まさに奇跡だった。熱狂的に求めてくれるファンたちが存在することは、嬉しい一方でコントロールできない恐ろしさもあった。しかし、あの奇跡の経験は、確実に自分のプラスになった。

熱に浮かされたような数年間のあとも、たくさんのファンがボートハウスを愛し続けてくれている。僭越ながら、こんなに何年もファンたちに支えられているブランドは、そうはないのではないかと思う。
デパートやショッピングセンターに入っているテナントは、次々に変わっていく。長く売れ続けるということがいかに難しいか、テナントの移り変わりを見るだけでも実感できるだろう。
しかし僕は、自分のブランドをそうした消えていく多くのブランドのひとつにしたくないし、ボートハウスの奇跡を「昔、行列ができてすごかったね」という昔ばなしで終わらせるつもりはない。
ボートハウスとキャプテンサンタは、確かにブームになったころに比べれば規模は小さくなっているが、ショップもちゃんと存在し、オンラインストアでの売上げもあり、さまざまなコラボレーション企画がある。これからも、まだまだ続けていけるという手ごたえは十分だ。

しかも、それだけで満足はしない。
これまでのファンに加えて、自分で一生懸命にバイトをして買ってくれるような若い世代にもファン層を広げていくつもりだ。そのためのアイデアはたくさんある!
キャプテンサンタを、夢のあるキャラクターとしてゲームの中で生き生きと立体的に動かしてみたい。
ゲームと言えば、アイビーファッションの着こなしをテーマにしたゲームをつくってもおもしろいかもしれない。
それから、キャプテンサンタの着ぐるみ人形をつくって、ファッションショーなどのイベントに登場させたい。土日にはお台場のMUSEUM&MUSEUMの近くで、着ぐるみ人形が風船を配るのもいい。風船もキャプテンサンタの顔にして、それを子どもたちが持って歩いてくれれば、効果抜群の宣伝になる。
ハワイのガイドブックもつくってみたい。案内役は、もちろんキャプテンサンタだ!
こんなふうに自分の楽しさや夢をブランドに投影すれば、結果的に売上げに結びつく。僕はこれまで〝売るための〟モノづくりはしてこなかったから、経験からもそれを断言できるのだ。

夢とビジネスの軸を同じにするのは、すごく難しいことではある。好きなことは仕事にしてはいけない、と言う人もいる。でも、夢とビジネスは両立できることを、僕の約50年間が証明している。
両立実現の9割は、まわりの人たちのおかげ。ただ、1割は自分にかかっている。ぶれない夢を持つことこそ、その1割の部分だと思う。

苦しみにつながることを夢にする人はいないだろう。楽しいから夢になる。だから夢をもってビジネスをすれば、提供する商品やサービスにも楽しさが宿る。
売れないと悩む時期もあったが、ずっと楽しく仕事をしてこられた。僕は今まで一度も、つらくて泣いたことはない。泣くとすればそれは、必ず感動の涙だった。

本当に、支えてくれたジョイマーク・デザイン号のクルーたちには感謝している。これからも懲りずに、一緒に楽しく夢を追ってほしい!

ジョイマーク・デザイン号は、僕の夢だけじゃなく、クルーたちそれぞれの夢も乗せて地平線の彼方へと前進を続けていく。

「続きが読みたい!」「本を購入したい」かたはこちらから

2017年9月4日発売。現在、全国主要書店さんにて好評発売中。是非、お買い求めください。

■著者プロフィール

下山好誼(しもやま・よしみ)
1947年岡山県生まれ。東京デザイナー学院を卒業後、1969年に22歳でジョイマーク・デザイン社を設立。 1979年には『BOAT HOUSE』を発表し社会現象とまで言われた一大ブームを生み出す。その後も様々なブランドをリリースするが、アメリカ、海、トラディショナルスタイルをキーワードとするライフスタイルの提案は、いちアパレルブランドのデザイナーと言う枠に留まらない活動へと繋がっている。

■著書紹介

BOOK<内容紹介>

1980年代、当時一世を風靡するほどの一大ブームを巻き起こした
アパレルブランド「BOAT HOUSE」を生んだ、ジョイマーク・デザイン株式会社社長・下山好誼氏、初の自伝エッセイ。
「キャプテン」という愛称で、ファンに長く愛され続ける下山氏。
世代を超えて愛されるブランド「ボートハウス」「キャプテンサンタ」をつくり上げるまで、成し遂げてきた仕事の軌跡とそのルーツをたどる。心からアイビーファッションを愛し、「ブルートラディショナル」を生み、時代の寵児と言えるだろうキャプテンのすべて!

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