政治結社からも出版妨害にあった衝撃的エログロ作品
劇画家畜人ヤプーは、沼正三なる現在でも正体不明の作者の手により1956年『奇譚クラブ』にて掲載されたSF(SM)小説が原作。本作は連載直後から三島由紀夫をはじめとする文化人・知識人の間で話題になっていた作品で、三島は多くの人にこの家畜人ヤプーを勧めていたこともあり、それが本作の名をなしめる切っ掛けともなった。しかし内容が内容だけに原作の単行本出版に際して様々な妨害が行われたことでも有名である。
今回紹介するのは、その家畜人ヤプーの劇画版だが、劇画家畜人ヤプーの第一巻は仮面ライダーなどで有名な石ノ森章太郎が作画を行っている(2巻以降監修に徹し、以降作画は弟子のシュガー佐藤が担当)。石ノ森章太郎はあとがきなどに原作家畜人ヤプーは文字で書かれた漫画であると評していて、またそのコミカライズに際しての苦労もこぼしている。
まず本作の感想を述べれば全巻読了しても、決して楽しい気分にはなれない作品であること。しかしなぜ読み続けたのかといえば、有無を言わさぬパワーに圧倒されたこと、怖いもの見たさ、そして読者である私が、勝手に予感し期待した、いつか訪れるであろう大逆転劇のためでもある。しかし本作家畜人ヤプーは、そんな私の能天気な予感とは裏腹に無常であり続けるのだが、主人公は結果的に立場をすすんで受け入れられたことから考えると、ある意味ハッピーエンドで締めくくられた作品であるといえるのかもしれない。>もっとみる |