『営業力100本ノック』(日本経済新聞出版社)などの著者である北澤孝太郎さんが、新著『まんがでわかる 営業部はバカなのか』(ゴマブックス)を10月31日に発売されます。
本書は、営業職のビジネスマンだけでなく、個人事業主としてビジネスをされているかたがどういう方略で自分の製品・商品を売り込めばよいのかを説いています。
本コラムでは、本書の第3章「『手間』と『時間』は惜しむな!」を全8回にわたってご紹介いたします。
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■第3章のポイント
私がこれまで見てきた中で、「この人は本当に売れる」という営業マンが3タイプいました。それは次の通りです。
■達人タイプ:どんどん新規顧客を獲得する/人脈を広げるのが得意
■芸術家タイプ:自ら新規商品・サービスを企画する/課題解決が得意
それぞれ個性があり、売り方や組織内での役割が異なるものの、共通していることがひとつあります。
それは、圧倒的に「手間」と「時間※」をかけていることです。ここが他の営業マンとの大きな差です。
努力せずとも、もとからセンスがあり、最初から順風満帆に思われがちですが、本当に売れる人にはきちんとした理由があるのです。
優等生タイプのアプローチ術①
社内営業が得意で、既存顧客売上を拡大し続けます。「新規の顧客を獲得せずに、既存顧客だけで売り上げを保っているうえ、社内しか見ていない」と、新規開拓が得意な「野武士」的営業マンからは嫌われるかもしれません。けれども、優等生タイプは、バッド・イメージをもたれがちな彼らのことをバカにはせず、むしろ讃えます。そして、既存顧客で常に圧倒的な数字を上げ続けます。
ちなみに、優等生タイプと「野武士」的営業マンの顧客替えをしたとしても、優等生タイプはしばらくの間は苦戦するものの、数ヶ月経った頃には元通りの圧倒的な売上数字をたたき出してしまう、というスゴさがあります。
いつも余裕があり、後輩の面倒見も良く、事務スタッフや他部署の社員たちにも常に気を配るので、周囲の人たちから愛され、また「理想の管理職」となりうる存在でもあります。
上司に対しても、余程のことがない限り逆らうことはなく、常にフォローの姿勢で臨みます。かといって、媚を売ることもしません。役員等からお誘いがあっても必要以上に近づくことはないため、誰かの派閥に属することはありません。評価の査定会議でも常にトップに推されます。まさに文字通りの優等生です。
■“倦怠期”をつくらない
既存顧客の売上を伸ばすために、肝に銘じておかなければいけないのは、顧客から「後は君に任せた。好きにしていいからやっておいて」と言われないようにすることです。一見、「顧客から任される=信頼されている」と受け取りがちですが、これは大きな間違いです。顧客の「好きにしていいよ」とは、顧客の興味や関心がその課題や自社または自分から離れたことを意味します。恋愛でいえば倦怠期に入ったようなもの。
単なる倦怠期であればダラダラ続くかもしれませんが、ビジネスの世界においては、競合他社にその座を奪われかねません。さらに難しいのは、一度飽きられてしまうと、なかなかもとの状態には戻れないということです。
このことを優等生タイプはよく知っています。そのため、顧客が今何を欲しているか、あらゆる人からいろいろな方法で情報を収集します。そして、次から次へと顧客の課題を率先して見つけ、常に顧客の関心を集める状態を作る努力をしているのです。
■著者プロフィール
北澤孝太郎(きたざわ・こうたろう)
東京工業大学大学院 特任教授(MBA科目 営業戦略 組織担当)
レジェンダコーポレーション 取締役
1962年京都市生まれ。
1985年神戸大学経営学部卒業後、株式会社リクルート入社。20年に渡り、通信、採用・教育、大学やスクール広報などの分野で常に営業の最前線で活躍。採用・教育事業の大手営業責任者、大学やスクール広報事業の中部関西地区責任者を担当後、2005年日本テレコム(現ソフトバンク)の執行役員法人営業本部長に転身し、音声事業本部長などを歴任。その後、モバイルコンビニ株式会社社長、丸善株式会社執行役員、フライシュマン・ヒラード・ジャパン バイスプレジデントなどを経て、現職。営業リーダー(組織長や部長、役員)教育の第一人者として、数多くの研修や講演の経験を持つ。
現在、東京工業大学大学院 環境・社会理工学院の特任教授として、大学・大学院で日本初であり、現在も唯一の営業の授業を担当している。
著作に、『営業部はバカなのか』(新潮新書)、『優れた営業リーダーの教科書』(東洋経済新報社)、『人材が育つ営業現場の共通点』(PHP研究所)、『営業力100本ノック』(日本経済新聞出版社)などベストセラー作品が多数ある。
■著書紹介
<内容紹介>
ビジネスパーソン必読!! 新潮新書にてベストセラーとなった話題作「営業部はバカなのか」が、ついに待望のまんが化!
「頭が古い! 」「汗臭い! 」「なんだか偉そう」……どうしてそんなに営業部は嫌われるのか!?
思わず目からウロコの営業戦略を提唱する現代の「営業解体新書」をわかりやすく解説した、楽しく身につく至高のビジネス書が誕生!!
リクルートや日本テレコム(現ソフトバンク)などで、営業のスペシャリストとして長く凄腕をふるった著者だからこそ語れるビジネスの作法・営業論の数々! それをまんがで読みやすく、各章ごとのポイントを図解などを用いてまとめるなど、わかりやすく仕上げました!!
さらに、多くの企業研修で教材として扱われ、東京工業大学大学院のMBAクラスでは教科書として使用されている著者の『優れた営業リーダーの教科書』(東洋経済新報社)からも、そのエッセンスを多数抜粋し、より的確かつ実践的な内容となっています!!