残すところあと4日で2017年は終わってしまいます、、、。
電子書籍ランキング.comでは、今年の振り返りも兼ねて各編集部員の独断と偏見で選んだ今年読んだ本、漫画を紹介します。
年末年始の休暇に、ぜひご覧ください!
編集部Tが選ぶ今年の本・マンガ
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屍人荘の殺人 | 青のフラッグ | Dr.STONE |
今村昌弘 | KAITO | 稲垣理一郎,Boichi |
『屍人荘の殺人』
『このミステリーがすごい!2018年版』『「週間文春」ミステリーベスト10』『2018本格ミステリ・ベスト10』と、名だたるタイトルにて1位を獲得した本作。○○○による新しい形のクローズドサークルを作り出したことも秀逸だが、その仕掛けをトリック全体にあますことなく上手く絡めている点が素晴らしい。本格ミステリの名に恥じない、圧倒的な論理的解決を楽しめます。
内容については、何に触れてもネタバレになりそうなので、未読の方はぜひその目で確かめてください!
読んだ後きっと誰かと語りたくなる作品です。
『青のフラッグ』
心理描写が抜群に上手い作品です!ひとつひとつのセリフももちろんですが、表情の描き分け、間の取り方など「すごいなぁ……」とため息が出てしまうほど。
キャラクターの視点によって、タッチを変えドキッとさせたり、複雑に色々な心情がないまぜになった表情の描き方に特に注目です。しばらく読み進めて、改めて読み返すとその凄さがより分かると思います。「あぁ、だからこの時こんな表情をしたのか!」と。
とにかく切ない、まさに青春!
『Dr.STONE』
謎の石化現象により、文明がリセットされた未来の世界で、科学の力でゼロから文明を取り戻していく、SFサバイバル冒険譚。
鉄や、電気など、これまで人類が生み出してきたものを知恵を絞ってひとつづつ生み出していきます。科学の歴史を早回しで見ているようでワクワクが止まりません。科学ってすごい!
テンポが良く、少年漫画的なハッタリもうまく効いていて今一番、”唆(そそ)られる”漫画です!
(筆:編集部T)
編集部Sが選ぶ今年の本・マンガ
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蜜蜂と遠雷 | 昭和史のかたち | かりん歩 |
恩田陸 | 保阪正康 | 柳原のぞみ |
『蜜蜂と遠雷』
言わずとしれた、直木賞と本屋大賞をW受賞して話題になった恩田陸の作品。
ある国際的なピアノコンクールを舞台にした作品で、そのコンクールに出場するコンテスタントや審査委員の1人1人に迫る話となっている。
音楽を言葉で表現するのがとても難しいのだが、その圧倒的な表現力で完璧に表現しており、今まさに目の前で音楽が流れている感覚に陥る。
そして、それぞれのキャラクター達のここまでの道のりがその表現力に個性を出していく。
ただのピアノコンクールを舞台にしているため通常では起伏がないものになってしまうのだが、4人のコンテスタントのエピソードがどんどん物語の世界観に引っ張っていく。
507ページ、2段組みという長編作品なのだが、一回読みだしたら手が止まらなくなってしまうのは、間違いない。
●書評『蜜蜂と遠雷』
『昭和史のかたち』
今年の夏に名門高校である灘中学校・高等学校(兵庫県)の校長である和田孫博校長が歴史教科書の採択について、外部より圧力をかけられたという告発を行った。
その告発文の中に出てきたのが、今回紹介する保阪正康の『昭和史のかたち』である。
まもなく平成という年代も終わり、昭和も遠くなろうとしている現代において、「昭和」という時代を図形化して分析した作品である。
改めて「昭和」という時代を見直すことにより、今現在の日本の状況が見えてくる一冊。
『かりん歩』
前作の『高杉さん家のおべんとう』がとても面白く、その新作と聞いてすぐに買いに行った作品。しかも、『高杉さん家のおべんとう』のキャラクターが脇役として出てくるので、前作を読んでおくと2倍楽しめる作品です。
祖父の喫茶店を引き継いだ主人公が、「喫茶店」と「散歩」をとおして成長していく姿を描いています。今回も前作同様に名古屋が舞台で、名古屋という街を地理的、歴史的観点から学ぶことができる一冊。そして、ブームにもなっている名古屋の喫茶店文化がどういうものかも知ることができます。
ほのぼのした作品を読みたい方にはオススメの1冊。
(筆:編集部S)
編集部Oが選ぶ今年の本・マンガ
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宝石の国 | ルビンの壺が割れた | 「いき」の構造 |
市川春子 | 宿野かほる | 九鬼周造 |
『宝石の国』
表紙に惹かれて手に取ったのが、きっかけで読み始めました。
この作品は、宝石仲間のなかで落ちこぼれの「フォスフォフィライト」が試行錯誤しながら成長していく物語になります。登場するキャラクターはそれぞれ個性が立っているので、シリアスな内容なのにその重さを感じません。
『ルビンの壺が割れた』
初めてこの本を読んだときは、作品の力に圧倒されました。SNSでのやりとり、お互いの気持ちのズレ。ページを捲るごとに作品の圧が押し寄せてきます。
また驚くべきは、著者・宿野かほるさんのデビュー作ということ。新人作家さんのストーリーテラーの度量に圧巻されました。
『「いき」の構造』
哲学者である九鬼周造の代表作。「matohu」というファッションブランドのデザイナーさんが、デザインコンセプトの参考にした書籍だと聞き、興味を持ち読み始めました。
「いき」という言葉は、もう死語になっているのかもしれません。しかし、その文化や考え方は、「いき」続けているのではないでしょうか。本作は明治時代に著されていますが、150年経った今でも勉強になる点は多いです。
(筆:編集部O)
編集部Iが選ぶ今年の本・マンガ
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ピンプ | チャヴ 弱者を敵視する社会 | さよなら私のクラマー |
アイスバーグ・スリム | オーウェン・ジョーンズ | 新川直司 |
『ピンプ』
今年めでたく日本語翻訳版が復刊となった、アイスバーグ・スリムの自伝的小説です。公民権法制定前のアメリカで、ストリート・ビジネスによってのし上がった男の物語。登場人物の会話にいちいち凄まじい迫力があります。
『チャヴ 弱者を敵視する社会』
昨今頻繁に語られているポリティカル・コレクトネスの観点からは見落とされがちな階級間の差別意識を糾弾した一冊です。英国社会について書かれたものですが、帯のコピーにあるように、日本人にとっても身近に感じられるテーマだと思います。
『さよなら私のクラマー』
実は去年もこの作品をNo.1マンガに選んでいたのですが、今年発売された2~4巻が爆裂面白かったのでまたNo.1にします。女子サッカーが舞台の激熱スポーツマンガです。もはや新時代のスラムダンクです。
(筆:編集部I)