2016年7月19日、第155回(2016年上半期)芥川龍之介賞・直木三十五賞の受賞作品が発表されました!
芥川賞に選ばれたのは村田沙耶香さんの『コンビニ人間』、直木賞に選ばれたのは荻原浩さんの『海の見える理髪店』でした。
本記事では、受賞後に重版が決定するなど注目を集めている両作品のあらすじ/内容紹介や、読んだ人の感想、村田沙耶香さん・荻原浩さんの他作品についてまとめました!
コンビニ人間
<内容紹介/あらすじ>
36歳の古倉恵子は、大学1年生の時にオフィス街のコンビニエンスストアでオープニングスタッフとして働き始めて以来、18年間アルバイトを続けていた。
恋愛をしたこともなく、六畳半のアパートに住み続ける恵子を周囲の人間は不思議そうに見ていたが、自分を“正常な人間”“世界の歯車”にしてくれるコンビニの仕事を恵子は気に入っていた。
そんなある日、35歳の独身男性・白羽が新人のアルバイトでやって来た。「婚活」のためにコンビニで働き始めたという白羽だったが、文句ばかりで仕事を真面目にやらず、次々と問題行動を起こしてしまい……。
みんなの感想
最初は主人公も白羽も「変な人だなぁ」と思いながら読み進めていましたが、『皆が不思議がる部分を、自分の人生から消去していく。それが治るということなのかもしれない』という主人公の語りにハッとさせられました。 これほど自分の価値観を揺さぶられる小説に出会えたのは久々でした。
コンビニで働き続ける独身女性が語り手という、かなり目新しい設定の物語ですが、現代の世相や社会に根深く存在するジェンダーの問題もしっかり反映されている優れた純文学だと思いました。 芥川賞を受賞したのも納得です。
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著者紹介
村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年生まれ。千葉県出身。2003年「授乳」で第46回群像新人文学賞優秀作を受賞してデビュー。
〈作品〉『ギンイロノウタ』2008年新潮社刊=第31回野間文芸新人賞受賞。『しろいろの街の、その骨の体温の』12年朝日新聞出版刊=第26回三島由紀夫賞受賞。『消滅世界』15年河出書房新社刊、他。
電子書籍で読める村田沙耶香さんの作品
【無料配信作品】コンビニエンスストア様
<内容紹介/あらすじ>
「コンビニ人間」で155回(2016年上半期)芥川賞を受賞し話題沸騰!
村田沙耶香さんが、愛するコンビニエンスストアに向け綴ったラブレター形式のエッセイ
≪前文お許しください。貴方と出会って17年ほどになりますが、こうしてお手紙を書くのは初めてのことですね。≫
作家、女優、映画監督など総勢26人が愛するものへの想いを綴ったアンソロジー『ラヴレターズ』(文藝春秋、2016年2月刊)。そこに収録され、偏執的なまでのコンビニ愛がクローズアップされた村田沙耶香さんのエッセイを、『コンビニ人間』発売に合わせて緊急無料配信します。
最終的に「コンビニと人間はセックスできるのか」という境地まで達する、新芥川賞作家の奇想とイマジネーションのうねり。是非『コンビニ人間』とあわせてお楽しみください!(Amazon.co.jpより)
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しろいろの街の、その骨の体温の
<内容紹介/あらすじ>
クラスでは目立たない存在である小4の結佳。女の子同士の複雑な友達関係をやり過ごしながら、習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に伊吹を「おもちゃ」にしたいという気持ちが強まり、ある日、結佳は伊吹にキスをする。恋愛とも支配ともつかない関係を続けながら彼らは中学生へと進級するが――野間文芸新人賞受賞、少女の「性」や「欲望」を描くことで評価の高い作家が描く、女の子が少女に変化する時間を切り取り丹念に描いた、静かな衝撃作。(Amazon.co.jpより)
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消滅世界
<内容紹介/あらすじ>
「セックス」も「家族」も、世界から消える……人工授精で子供を産み、無菌の家族をつくる、人間の本能の行方は?日本の未来を予言する圧倒的衝撃作。
中村文則・岸本佐知子氏驚愕!
壮大な世界。でもこれは母と娘の物語ではないだろうか。
さすが村田沙耶香。この作家はすごい。--中村文則
見たこともないほど恐ろしい「楽園」が、ここにはあります。--岸本佐知子(Amazon.co.jpより)
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海の見える理髪店
<内容紹介/あらすじ>
海辺の小さな街にある理髪店。 その店主は東京にいた頃、大物俳優や政財界の名士も惚れ込む腕前を持っていたという有名人だが、「僕」が電話を掛けてみるとあっさり予約が取れた。
店主はてきぱきと髪を切りながら、何故か「僕」に身の上話を始め……。
表題作『海の見える理髪店』ほか、『いつか来た道』、『遠くから来た手紙』、『空は今日もスカイ』、『時のない時計』、『成人式』の全6編を収録。
みんなの感想
荻原浩さんといえば「月の上の観覧車」「家族写真」など家族の絆を描いた小説が多いですが、この「海の見える理髪店」もそんな作品のひとつです。 個人的にはラストの「成人式」が、とても荻原さんらしいユーモアがあって好きでした。
短編集ですが、どれも違うパターン、語り口で面白かったです。 直木賞を取っただけあって、とても読みやすくて綺麗な文章だと思いました。 どの話も良かったですが、一番感動したのは本の題名にもなっている『海の見える理髪店』です。 淡々とした店主の語りと最後に明かされる事実に、思わず涙が出そうになりました。
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著者紹介
荻原浩(おぎわら・ひろし)
1956年生まれ。埼玉県出身。大学卒業後、広告制作会社に勤務。フリーのコピーライターを経て97年「オロロ畑でつかまえて」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
〈作品〉『オロロ畑でつかまえて』1998年集英社刊。『噂』2001年講談社刊。『母恋旅烏』02年小学館刊。 『神様からひと言』02年光文社刊。『僕たちの戦争』04年双葉社刊。『明日の記憶』04年光文社刊=第18回山本周五郎賞受賞。『あの日にドライブ』05年光文社刊=第134回直木賞候補。 『押入れのちよ』06年新潮社刊。『四度目の氷河期』06年新潮社刊=第136回直木賞候補。『サニーサイドエッグ』07年東京創元社刊。『愛しの座敷わらし』08年朝日新聞出版刊=第139回直木賞候補。『ひまわり事件』09年文藝春秋刊。『砂の王国』10年講談社刊=第144回直木賞候補。『二千七百の夏と冬』14年双葉社刊=第5回山田風太郎賞受賞。『金魚姫』15年KADOKAWA刊、他。
電子書籍で読める荻原浩さんの作品
明日の記憶
<内容紹介/あらすじ>
広告代理店営業部長の佐伯は、齢(よわい)五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう! 山本周五郎賞受賞、映画化もされた感動長編。待望の電子書籍化!(Amazon.co.jpより)
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神様からひと言
<内容紹介/あらすじ>
大手広告代理店を辞め、「珠川(たまがわ)食品」に再就職した佐倉凉平(さくらりょうへい)。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する凉平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや……。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。(Amazon.co.jpより)
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メリーゴーランド
<内容紹介/あらすじ>
過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。……って、再建ですか、この俺が? あの超赤字テーマパークをどうやって?! でも、もう一人の自分が囁いたのだ。〈やろうぜ。いっちまえ〉。平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが――。笑って怒って、時々しんみり。ニッポン中の勤め人の皆さん、必読。(Amazon.co.jpより)
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