第3回は、本の重ね着から『本のよそおい』を紐解いていこう。
今回は、いわば”本の着飾り”をテーマについて、付録とBOOK in BOOKから考えていきたい。
特に、雑誌媒体におけるそれらを観察して新たな視点、視野を与えたい。
まずは、今日の雑誌媒体の状況について述べていこう。
【雑誌不況時代】
みなさんは、最近雑誌を買っただろうか。買う人はなぜ買うのか、買わない人はなぜ買わないのか。
前者は、「その雑誌が好き」「仕事柄、情報収集として」「好きなタレントがこの雑誌でコラム、小説を連載しているから」……。後者は、「雑誌の公式サイトに行けば、内容が分かる」「友達が貸してくれる」「SNSで内容がシェアされる」「重い、かさばる」……。
後者に関しては、雑誌を買わずしてSNS上で目にする画像やテキストから雑誌の全容を把握できる。
そこで雑誌を買う動機づけがされることもしばしばあるだろう。
ただ、この一種のシェアリングエコノミーの影響はいかほどか。実際のデータを基に観てみよう。
雑誌出版点数 | 平均価格 | 創刊誌 | 廃刊誌 | |
2011年 | 3,949点 | 510円 | 138点 | 176点 |
2012年 | 3,936点 | 516円 | 111点 | 173点 |
2013年 | 3,800点 | 524円 | 111点 | 143点 |
2014年 | 3,761点 | 533円 | 106点 | 155点 |
2015年 | 3,674点 | 548円 | 88点 | 138点 |
2016年 | 3,589点 | 560円 | 86点 | 157点 |
(参考 : 新文化2017年9月14日記事 直近5年間のデータ)
上図を観ると一目瞭然、雑誌不況である。
雑誌不況は、人気雑誌の動向を観るとより身近に感じられるだろう。
ファッションカルチャー誌『カジカジ』はその一例。
2015年6月号までは月刊誌だったが、雑誌不況の煽りを受け翌7月号から隔月誌に移行した。
今年7月には、ファッション誌『装苑』も同様の発表を行った。
斜陽産業な雑誌市場。この状況に出版社は、どのように雑誌を売ろうとしているのか。
その一つは、雑誌付録だ。雑誌本体というよりはむしろ付録が主体と言えるほど、注力している。
ここ数年の雑誌付録は、豪華で、実用性の高いように思われる。
雑誌内容も然ることながら、雑誌付録を通じて読者に”買わなければいけない理由”を与えている。
特に、雑誌付録に注力している出版社といえば、宝島社。
読者目線で、付録の企画立案やディレクションまで全て行っているメーカー的存在。
次に、宝島社の事例と先日、世界で初めてロボットを付録にすることを発表した小学館の事例を観ていく。
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