『本とファッションの交点特集』最終回は、「本の装丁」についてお送りする。
そもそも装丁とは、
書籍の表紙,カバー,外箱,タイトル・ページのデザイン,および材質の選択を含めて装本を製作すること。(wikipediaより)
つまり、本の最後の仕上げを指す。装丁は、本の内容に直接関わるところではない。しかし、本と触れるとき、まず目にするのは、内容ではなく、本のデザインになる。そのため、装丁は本の内容を端的に表し、読者に魅力を訴求する役割を担う。
また、筆者である私は、装丁をこう捉えている。「本が人と同じように化粧をした状態だ」、と。
新刊は年間に約8万冊発売されているという。読者にとって8万冊のうちの1冊となるのか、それとも残りの7万9999冊になるかは、本のデザイン(=装丁)にかかっているといっても過言ではない。昨今、インターネットやSNSの普及は言うまでもない。読者は、それらを駆使して、新刊情報に簡単にアクセスできる。
逆説的ではあるが、本は内容やデザインが良くても埋もれてしまうことがある。また、”著名人・タレントの新刊”を打ち出せば、瞬く間にベストセラーになる本もある。
そのような環境で「この本、おもしろそう」と読者に思ってもらう、手を伸ばしてもらうために、装丁の役割は大きい。
人が異性を見て、「かわいい」「かっこいい」と感じるように、本にもそれに近い性質をもっているのではないだろうか。
もっとも、本の良し悪しは内容に左右される。しかし、本のデザインや装丁が読者との接点を与える架け橋となっているのだ。
さて、気になる装丁の話をするまえに、装丁を担当する装丁家、ブックデザイナーの話をしたい。
というのも、そもそも装丁家とは何なのか、その人をどのようにして知ることが出来るのか、を説明する必要があるからだ。
【装丁家とは】
装丁家とは、主に本の装丁やデザインを担当している人。装丁家は出版物がもつ特徴を、文字や色またそれらの配置に注意をはらい、読者に伝える仕事だ。
装丁家はまるで野球のキャッチャーのようだ。担当した本がベストセラーになれば、その栄誉を受けるのは著者。一方、担当した本が売れなければ、その責任を被るには装丁家、ブックデザイナーだ。そして、何年後かに光が当てられる存在なのだ。
【装丁家をどこで知る?】
装丁家は、陰日向の存在だ。著者や出版社は、表表紙や裏表紙にでかでかと記してある。
しかし、そこには装丁家の名をない。ではどこで装丁家を知ることができるのか。
それは、本の扉と呼ばれているところに載っている。
※仙台 南北社からの引用
扉部には、出版社の電話番号、編集責任者、製本会社や印刷会社を記している。この部分を見ると、この本に誰が、どの工程で、どのようにして関わっているのかが一目瞭然だ。
今あなたが読んでいる本の扉部を見てほしい。そこには、それぞれの人の想いが詰まっているのだ。
ここまで装丁、装丁家について述べてきた。次に、著名な装丁家とその方々が担当した作品をご紹介する。