このコラムは「みんな、インフルエンサーになりたかった」ですが、それ以前にこのサイトは「電子書籍ランキング.com」です。
電子書籍ランキング.comなのに、このコラムでは今まで電子書籍について触れてきませんでした。
僕は電子書籍に関係ないかと言うとそんなことはなくて、過去には17冊の電子書籍をアマゾン等で出版し、そのうち1冊が単行本化されたくらい、電子書籍事情には詳しいです。
電子書籍をたくさん出版したのは2016年のことで、当時から「これからは、電子書籍が流行るぞ!」と思っていました。具体的には「ブロガーが自分のブログをまとめて、電子書籍として発売する」という流れが活発になるとにらんだのです。
しかし2年が経っても、そのブームは訪れそうにありません。
それどころか、ブロガー界を含めたインターネット全体でほかの波が少しずつ起こっています。
「note(ノート)」です。
僕自身もnoteでコンテンツを発売しました。
これらの経験から、クリエイターのnote販売は電子書籍市場を食いつぶすのか?
という議題を見てみましょう。もっとカンタンに言うと「note vs 電子書籍」です。
良くも悪くも「本」の呪縛から逃れられない電子書籍。
電子書籍を10冊以上発売し、「電子書籍を発売する方法」の指導もしてきました。その経験から言うと、電子書籍は「表紙」のウェイトが非常に重いです。
電子書籍はアマゾンなどで閲覧するときもほかの本と比べられながら発売されます。とあるクリエイターが電子書籍を発売すると、その横には超有名著者の似たようなタイトルの本が並ぶことになります。
有名著者の本は表紙も一流のデザイナーによって作られています。
一方、とりあえず電子書籍を発売した方の表紙は、素人クリエイターが作ったためか、パッと見は綺麗に作られていても、どこか素人臭さが消えていません。
本の内容は、ひょっとしたら有名著者の方はありきたりで当たりさわりがなく、素人クリエイターの方には革新的な内容が書かれているかもしれません。
それでも「表紙の差」によって、読者は有名著者の本を選んでしまうかもしれないのです。
電子書籍は「綺麗な表紙」でなければ売れないのです。
そして、「ボリューム」も非常に気にします。クリエイターは「1万字程度で『本』なんて言えない」と思います。読者も「こんなに短いのかよ。『本』なのに。」と思います。
本当は、文章量なんてどうでもいいはずです。それが実用書でも、小説でも、「何文字以上なければならない」から書いた文章は、退屈でつまらない文章になります。どんなに文字数が少なかろうが、その内容こそ大切なはずなのに、「本だから、ある程度のボリュームがなければ」と縛られて、クリエイターも読者も損をしているのが、現状です。
また、書籍の何十万字という文字数は、現代の超情報社会では多すぎるとも言えます。
電子書籍が「本」であるがゆえの悪い点ばかり書きましたが、もちろん「本」だからこそよい点もあります。
まだまだ世の中には「電子書籍は、手続きさえすれば誰でも発売できる」という認識は広まっていないので、「電子書籍を発売した」というだけで、権威性が得られるというメリットもあります。
アマゾンで表紙が並んでいるだけでは紙書籍と違いはないので、電子書籍を発売する方が、noteを発売するよりも「すごいことをした感」は大きいです。くだらないようにも思いますが、どの世界でも「ハッタリ」は役に立ちます。
クリエイターを自由にした「note」。
さて、一方のnoteはというと、「本」の呪縛から解かれることで、より純粋にクリエイターが作品を販売できる場となりました。
丁寧に作った表紙は必要なく、文字数も自由です。作者と読者の双方が納得さえすれば文字数は関係ないですし、文字数ではなく「内容の価値」で判断しあうという土壌ができています。
僕自身もnoteを販売して思いましたが、サイト全体のシンプルさによって、課金(購入)のハードルが非常に低いです。「1クリックで買える」はアマゾンの専売特許でしたが、アマゾンよりも購入のハードルを下げることに成功していることに、敬意の気持ちさえもちます。
しかしここで大切なことですが、いまこれほどnoteが流行っているのは「一過性のブーム」という面もあることです。
実は、僕は2016年に電子書籍を発売する前、2015年にnoteでコンテンツ販売を少しだけしました。
しかしその頃は、今ほどの売れ行きがありませんでしたが、現在のnoteはちょっとした「ブーム」なのです。
これから電子書籍ブームが訪れるかはわかりませんが、インターネットで活動するには良くも悪くもブーム(トレンド)に乗ることで、自分も波に乗れる可能性が高まります。
トレンドに乗れるnote、手堅く電子書籍。
noteと電子書籍の違いはほかにもたくさんあるのですが、「流行りすたりの多い情報はnote」「普遍的な内容は電子書籍」の方が売れやすいという面もあります。
noteは自分が宣伝しないと売れませんが、電子書籍はアマゾン内の回遊から、自分に合った本をオススメしてくれるので、宣伝せずとも売れることもあります。
このように違いのあるメディアが共存していくのが今後のインターネット世界なので、それらを理解しつつ、自分にあった発信メディアを選んでいくのが、インフルエンサーを目指すには必要なスキルなのです。
藤沢篤
Twitter→@fujisawatsushi
ブログ→http://iphonedocomoss.com/