(この回より、コラムのアイキャッチ画像を変更しました。
友人のデザイナー岸本さん(@bunamato_mosiki)が作成してくれました。)
つい先日「プロブロガーに会いたい」という大学生とランチをしてきました。
21才の彼は、「いろいろ考えたけど、インフルエンサーになりたい」とのことで、友達づてで、一応はブログで生計を立ている僕のことを知り、話を聞きにきたのでした。
彼の口から出た言葉は「TwitterもYouTubeもコンテンツが出し尽くされているし、本当にいろんな人がいるし、もう飽和していますよね」というものでした。
その発言に対して僕は思わず首を縦に振り、その後も話は進み、1時間半ほど話したところで解散となりました。
しかし、その大学生と別れた後に、彼の意見を反射的に肯定した自分が正しかったのか疑問に思いました。満を持して自分のもとに会いに来た大学生に対して、良い返答だったのか、心にモヤモヤとした感覚が残りました。
彼にとっては、いくらかの権威をもつ自分が「SNS業界は既に飽和している」なんて発言をしてしまうことで、若者の成長機会を奪ってしまったのではないか?
「飽和している?そんなことはない!まだまだSNSは始まったばかり!広告費も流れ込んでくるし、全体のインプレッションもドンドン増えるし、メディアはさらに多様化する。これから10年こそが最高に面白い時代じゃないか!僕も君も、最高の時代に生まれたもんだなぁ!」
と、豪快に笑い飛ばすことこそ、彼のためになったのではないか、とも思ったのです。
「SNSは飽和している」は真実でもあるし、ウソでもある
ある程度インターネットが好きで、SNSにも精通している人であれば、「SNSはもう飽和している」と感じるのも無理はありません。
「いずれ、mixiみたいにみんなが飽きて、次の新しいものに代わる」と多くの人に思われていたFacebook、Twitter、Instagram、YouTubeなどの巨大SNSは、完成度、スピード感、ユーザーボリュームが大きく、後発SNSに取って代わられる兆しはありません。
その代わりに、メインSNSほど大きくなくとも、特定のジャンル、関心ごと、年齢層に絞った「ミドルSNS」と呼べるようなメディアが複数生まれてきています。
前回の記事でも紹介した「SHOWROOM」「17Live」などのライブ動画配信系SNS。
「WEAR」など、ファッションアイテム、コーディネイトを見せ合うことで繋がるSNS。
「TikTok」は15秒という短時間の動画を共有し、多くの人と繋がることができます。
このような「ミドルSNS」は今後も生まれますが、メインSNSくらいにユーザーボリュームを大きくするサービスは一握りでしょう。インターネット世界は、おそらく今後もFacebook、Twitter、Instagram、YouTubeのメインSNSを中心に動くだろう、というのが僕の予想です。
そうなってくると、それらメインSNSで多くのフォロワーを集めるインフルエンサーの影響力は、より安定し、強固になり、ちょっとやそっとで切り崩せるものではなくなります。
さらに、より細かいジャンル、より細かい興味でも、それぞれのジャンルでインフルエンサーがいます。彼ら彼女らは、良質なコンテンツ、根強いファン、多くのインプレッションを稼ぎ続けています。
この現状を目の当たりにすると、もはや「SNSは飽和している」という感想を持つのは、無理もありません。
それはある意味で真実ですから。
しかし、ある面ではウソでもあるのです。
5年後から現在を見れば、きっと宝の山
僕が初めて「Twitter」を触った日のことを書きます。
2012年。当時の彼女と住んでいた二子玉川のクリスピークリームドーナツで、彼女から「Twitter」の存在を教えてもらいました。
当時は、勝間和代さんと広瀬香美さんが「Twitterの先駆者」的なポジションで「おもしろい、おもしろい」という発信をしていました。
それを見た僕は、アカウントの取得すらせず「もう盛り上がっているんだったら、今更初めても遅い」と思い、ほとんどTwitterには触りませんでした。それから5年以上、本格的にTwitterに触りませんでした。
いま思い返せば、2012年当時から真剣にツイッターをやっておけば、いまはどんなすごいインフルエンサーだっただろうと思います。
話がそれましたが、現在は飽和しているように見えるSNSでも、5年後、10年後からすれば「宝の山」だろうと思うんです。
いまどんなに多くのインフルエンサーが様々なジャンルにいるように見えても、必ずその間を抜けて大舞台に駆け上がるルーキーはいます。
それも一人二人ではなく、毎年、毎月、毎週、SNSを活用して新しいインフルエンサーは生まれ続けるでしょう。
そうして10年後の2028年から、2018年を思い返すと「あの時代はまだまだSNS全体が未熟で、インフルエンサーも少なくて、いまよりもずっと成り上がるのが簡単だったなぁ。それに比べて、いまは市場全体が飽和してしまっている」と感じるだろうと予想します。
5年前を嘆いて現在の可能性が見えなくなるのではなく、10年後から逆算して目の前の宝の山に気づく方がずっと生産的です。
鍵となるのは「既存のインフルエンサー」「新メディア」「実績」「ストーリー」
とはいえ、現在だって、誰もがポンポンとインフルエンサーになれるわけではありません。
ちゃんとした戦略を持って、十分な時間と労力をそこに注ぎ込み、覚悟をもって行動した人だけが「インフルエンサー」と呼ばれるようになるのです。
もちろんアドバイスが「努力しよう」だけでは身も蓋もないので、僕なりに、現代においてSNS業界を駆け上がるためのキーワードを紹介します。
・既存のインフルエンサーに引き上げてもらう
TwitterにしろYouTubeにしろ「既に力のあるインフルエンサーに引き上げてもらう」ことは、最短で影響力を獲得するための王道とも言える方法です。
オンラインサロンのように、インフルエンサーの影響力の恩恵を受けるための仕組みも整いつつある現代なので、小さなプライドは捨て、大樹に寄り添う戦略も必要になります。
・新メディアでスターになる
冒頭で紹介したように、いまはメインSNSを取り囲むように、新しいSNSが次々に生まれています。ライブ配信系、ファッション系、ショート動画系だけではありません。
音声SNSである「Voicy」や「Himalaya」、「VALU」や「Timebank」のような、インフルエンサーの時間や価値を売買するプラットフォームも整備されてきています。
新しいメディア、プラットフォームが生まれた時には、そこで新しいスターが生まれやすいです。そのメディアに最適化したコンテンツを最速で発信できるかどうかが、鍵です。
・実績を押し出す
SNSで影響力をつけるためには、リアルな世界で積んだ実績を全面に押し出す方法が非常に効果的です。それは「◯万円稼ぎました」のようなありきたりなものではなく、「現在、医師です」や「猟師です」、「会計士です」のような、SNS内での存在が少ない職業を押し出すことができれば強いです。
いずれにしても、実績、実力がないのに影響力をつけようとしてもうまくいきません。実際にちゃんとした実績を積んだ経験があれば、それをうまく見せることで、効果的にフォロワーを集めることができます。
・ストーリーを見せる
現在は「有益な情報」が溢れてしまい、みんなが押しつぶされている状態です。
「有益な情報」よりも価値があるのが「ワクワクして、見守りたくなるストーリー」です。
「会社員が脱サラするまでのストーリー」や「300万円の借金返済のストーリー」、「独身女性が結婚するまでのストーリー」などをリアルタイムで見せることの方が、有益な情報よりも人々の関心を引きつけやすい面があるのは事実です。
究極の自作自演ですが、SNSはしょせん、全て自作自演なので構わないのです。
2018年現在、「飽和」しているように見えるSNS上でも、上記のようなテクニックを駆使することで飛躍していくルーキーインフルエンサーはたくさんいます。
あなたがその一人になるかもしれません。この記事が、その役に立つことを祈っております。
藤沢篤
Twitter→@fujisawatsushi
ブログ→http://iphonedocomoss.com/