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ふじさわコラム第五回 「あっちのレジェンド、こっちの無名。」

プロブロガーふじさわ別冊・書き下ろしコラム みんなインフルエンサーになりたかった。

ふじさわコラム第五回 「あっちのレジェンド、こっちの無名。」

2018年4月19日

「おおおっ!ふじさわさんだぁっ!本物だっ!お会いできて嬉しいですっ!」


大袈裟でもなんでもなく、二,三ヶ月に一回くらい、イベントに出かけた先などで僕が言われるセリフです。街中でいきなりこのように声を掛けられたのは、今まで二回ほどあります。
 
いきなりこんなことを書くのは、自慢したいわけではありません。ただ、僕はその度に「ああ、世界は分断し、独立しているんだ」と実感していることを伝えたいんです。
 
もちろん、上記のように声を掛かけられれば、自我がくすぐられてすごく嬉しいし、思わず天狗になってしまうような、地面から足が浮いてしまうような気持ちになります。
 
それと同時に、さほど大きくないブロガーコミュニティでチヤホヤされることに甘んじて、その世界に留まってしまい、広い世界に目を向けるのを忘れてしまわないようにしようと、日々、兜の緒を締める気持ちです。
 
インターネットとSNSが世界を最も大きく変えたのは、「画一化」された世界を分断し、独立した複数の小さな世界を作りあげ、「タコツボ化」したことです。
 
インターネットが登場する以前は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディアによって価値観が画一化された世界でした。ある有名人は誰にとっても有名で、家族や学校、職場の同僚とも、同じ話題、同じ有名人について話をしました。
 
しかしインターネットとSNSが普及した結果、誰かにとっての有名人は、別の誰かにとっては「誰それ?」な存在になったのです。
 
SNSでどんなにフォロワーが多かろうと、テレビに頻繁に出ていない限りは、全国民に認知されることは不可能に近いです。その業界を牽引するリーダーでも、朝ドラに出演している若手俳優に、知名度で勝つことは難しいのです。
 
僕は有難いことに、ある人からは「ついに本物に出会えたあ!」と言ってもらえるような存在ですが、そんな僕は世界の99.9%以上の人からは「誰、それ?」な存在なのです。
 
この事実を踏まえた上で、発信者と受信者はそれぞれどう振る舞うべきかを考えてみましょう。
 

まず発信者の方に朗報です。


「SNSでいくら有名になってもテレビには勝てない」という事実は変わりませんが、それは「認知度」ベースの話です。SNSを舞台に活動するインフルエンサーは、認知度ではなく「影響力」をベースに考えるべきです。
 
テレビに出ている俳優やアナウンサーに影響力がないとは言いません。ただ、過去にタレントがクラウドファンディングに挑戦しても、ほとんど資金を集められなかった例は多いです。「認知度」の高さは、必ずしも「影響力」あるいは「信頼」とイコールになるとは限りません。
 
インフルエンサーを目指す僕たちの基本原則は、「闇雲に認知度を追いかけない」となります。いくらSNS上での有名人を目指しても、テレビタレントの認知度の足元にも及びませんから。ちなみに、認知度は「フォロワー数」と言い換えることもできます。
 
いくらフォロワー数が多かろうと、テレビタレントの知名度には足元にも及ばないのですから、フォロワーの数ではなく質にこだわりましょう。自分の発言を信じ、人生に取り入れてくれて、時には助けてくれる、そんな信頼関係を築くことができるフォロワーを増やしましょう。それこそが「影響力」のベースになります。
 
最初は、小さなコミュニティで自分の影響力を確立させましょう。
 
どんなに有名になろうとも、その業界の一歩外に出ると誰にも知られていないということを自覚して、まずは自分のいる業界で、影響力のベースを築きましょう。
 
有名になろうとしすぎず、「誰かに影響を与えたい」「誰かの人生を良くしたい」「誰かを楽しませたい」という意識を持ちつづける方が、健全なインフルエンサーと言えます。
 
では、価値観が「タコツボ化」した現代では、どのように情報を受信すれば快適に生きていけるのでしょうか?
 

正解は、
 
・興味のないことからはさっさと離れる
・自分と合う価値観、コミュニティを見つける
・しかし、特定のコミュニティの信者化しない
 
です。


 

まずは「興味のないことからはさっさと離れる」です。


これほど価値観が多様化し、コミュニティが生まれ、様々なインフルエンサーがいるのに、自分にしっくりこない情報に触れ続けるのは労力のムダです。たまに、自分の考えと違う相手を見つけて「それは違う!」と、相手の考え方やスタイルを変えようとするひとがいますが、それはムダな努力に終わります。
 

次に「自分と合う価値観、コミュニティを見つける」です。


自分の考え方と違うと思う場所からはさっさと立ち去り、より自分が快適に過ごせる世界に移動しましょう。それはオンラインでもオフラインでも同じです。いかに自分の価値観と合ったコミュニティ、目指すべきインフルエンサーを見つけられるかが大切です。
 
僕自身の例で言うと「都会でバリバリ働いて出世したい」という友人、「田舎でのんびり暮らしたい」という友人、「海外で自由に生きていきたい」「一日十時間ゲームできたら幸せ」という友人がいます。
それぞれに目指すべき姿があって、幸せの形式は違います。
 
それぞれの友人の価値観を変えようとしたり、論破しようとしたりするのは時間のムダなので「そういう人もいるのね」と、少しだけ距離を置きましょう。
 

そして「自分と合う価値観、コミュニティを見つける」ことに力を注ぎましょう。


自分が「一日十時間ゲームをしているのが幸せ」だと感じるのなら、同じように考える友人を持ちましょう。自分と似た価値観をもつ人は、SNSの力を借りればすぐに見つかります。
 

最後に「しかし、特定のコミュニティの信者化しない」です。


特定のコミュニティやインフルエンサーに依存するのはとても楽です。その人の言う事を鵜呑みにし続ければいいのですから。
しかしそのインフルエンサーは、そのコミュニティの一歩外に出れば「誰、それ?」と言われるレベルなのです。
 
インターネットとSNSの発達によって、様々なカテゴリ、ジャンルでのインフルエンサーが現れています。
魅力的なインフルエンサーを目にすると、つい心を奪われ「この人の言うことが全てだ!」と思ってしまいがちです。
 
しかし、ほとんどのインフルエンサーの影響力はあくまで「そのコミュニティ内でのみ」です。
 
適切に精神的な距離をとり、「まぁ、あのすごいひとだって、世にでたら『誰、それ?』ってレベルだよな。」というくらいでちょうどよいでしょう。

藤沢篤
 
Twitter→@fujisawatsushi
ブログ→http://iphonedocomoss.com/



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