傑作ギャグオカルト漫画
『GS美神 極楽大作戦!!』は、1991年から1999年まで『週刊少年サンデー』にて連載された椎名高志の代表作です。コミックスの累計発行部数は7000万部を超え1993年にはテレビ朝日系列でTVアニメ化もされた人気作品です。また翌1994年には映画化もされています。
GS美神 極楽大作戦!は今読み返してみても古臭さを感じるどころか、シリーズを通して存分に楽しめる漫画作品です。本作は単行本の発刊が全39巻とロングヒットした作品ですが、シリーズ前半と後半とでは見どころが大きく変わります。
前半は、どたばたコメディー要素がかなり強い作風です。主人公美神令子は美貌を誇る超有能な霊能力者でありながら、人を人とも思わないような守銭奴っぷりとプライドの高さが特徴として描かれます。守銭奴の最たるエピソードは、高校生を助手として時給250円で雇ったことでしょう。法律などなんのそのです。
また、その時給250円で雇われた横島忠夫も、いつ逮捕されてもおかしくないセクハラ言動とギャグ漫画ならではの心身の打たれ強さが特徴として描かれています。この二人を軸とした勢いのあるギャグ展開や、美神令子の圧倒的な強さで悪霊を退治していく爽快感を楽しむのが前半です。
後半は、二人のキャラクターはそのままに、霊能力者としての横島忠夫の成長や、前世まで絡む美神令子の運命を扱う勢いだけのギャグではない読み応えのあるストーリーが多くを占めてきます。横島忠夫の潜在能力の高さが判明し、少しづつ敵に立ち向かいながら才能を開花させていくこれぞ少年漫画というストーリーを軸に、美神の横島に対する淡い恋心までストーリーベースとなり広がりを見せていきます。少年ギャグ漫画と、少年成長物語、一つの作品でありながら2つの側面を楽しむことができるのです。
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