不良から教師になった型破りな男の痛快マンガ
『GTO』は、藤沢とおるの学園漫画で1996年から2002年まで『週刊マガジン』にて連載されました。この漫画は前作の『湘南純愛組!』の続編的な扱いになりますが、当時、湘南純愛組!を見ていてまさか主人公の一人である「鬼塚英吉」が教師になるとは思いもよりませんでした。ただし「GTO」は前作「湘南純愛組!」との繋がりはあまり存在せず、本作が独立した作品として完成しているため前作を読んでいない人でも問題なく本作を楽しむことができます。むしろ前作に不良漫画があることを知らない人も多いことでしょう。
それもそのはず「GTO」は、1998年フジテレビ系列でのTVドラマ化に始まり、翌1999年にはTVアニメ化さらに同年12月には実写映画化もされています。また2012年にはリメイクドラマが放映、さらに2014年ではリメイク版の第二期も放送されるほどの人気知名度を誇る作品なのです。
なお、GTOという作品のタイトルは、Great Teacher Onizuka(グレート ティーチャー オニヅカ)の頭文字を取ったものです。
本作は、主人公「鬼塚英吉」が替え玉受験で合格した大学の卒業後に、教師になるという作品です。鬼塚が元暴走族の不良という設定上、特効服を着て物を壊したりケンカのシーンが多かったりしますが、そんな役柄だからこその方法で家庭環境を改善したり、学校内の問題を解決していく様は笑いを誘うのと同時に爽快感を与える魅力があり、第1巻から楽しめます。
マンガ原作の作品に良くあることではありますが、GTOは他のメディアに引き込む程人気があるにも関わらず、それら作品群では原作マンガ遵守の世界観設定が未だになされていません。マンガやアニメの作品を原作とした、所謂「実写ドラマ化」は原作とドラマ版とのギャップが埋められないのは仕方のない事ですが、原作マンガ版では女性キャラの肌の露出や過激な描写が多く、テレビで放送出来るようにする為に大幅な設定変更を行わなければなりません。
アニメ版でもシナリオ第1話の内容に限れば原作重視なのですが、中盤からの進行でその様態の変化が顕著なものになり、特に鬼塚の生徒の「野村朋子」を中心に繰り広げられるシナリオ展開が原作と全く違うものになっています。マンガやアニメなどの作品に対する規制が強まる中、『GTO』本来の面白さを体感出来るのはやはりマンガ版という結論になります。
本作の見どころは生徒に対して、また生徒たちと共に体当たりで困難を乗り越えるところですが、個人的に最大の見どころは主人公鬼塚と内山田教頭との絡みが展開されるシーンで、笑えて爽快感のある魅力を味わえます。
本作の関連作品には前述した『湘南純愛組!』の他、養護施設ホワイトスワンでの物語『GTO SHONAN 14DAYS』、湘南純愛組!のもう一人の主人公である弾間龍二が主人公を務める『GT-R』、2013年より連載の『GTO パラダイス・ロスト』があります。