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globeデビュー21周年記念! マーク・パンサー氏が語る過去、現在、未来について(前編)
2016年7月29日


6月に風営法改正が成立し、ナイトシーンやクラブカルチャーの復活や活性化が期待されています。今回は、8月にデビュー21周年を迎えるglobeのメンバー、ミュージシャンでモデルのマーク・パンサー氏にインタビューしました。2011年にメンバーのKEIKOがくも膜下出血で倒れ、globeは活動休止となり、自らDJとして活動を始めたマーク氏。実は、フランスの専門学校でDJの国家資格を取得。DJイベントでは、globeの曲をかけることや、曲を新しくリミックスしたアルバムを発売するなど、精力的に活動の幅を広げています。そんなマーク氏にとってDJの魅力とは何か、イベントの場を盛り上げるDJの極意などを伺ってきました!

 

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DJの醍醐味はお客さんの反応を見ながらベストなものを作り上げること

――8月に発売されるDOD(ディスクオンデマンド)『マーク・パンサーのDJ SKOOL!!!!!!』の撮影の現場を拝見させていただきました! 今まで聴いてきたglobeの曲とはまた違った魅力が、マークさんのDJによって引き出されているように感じました。リミックスも全てマークさんがなさっているんですか?

はい、制作チームを組んでいますが、僕がリミックスをしています。昔は、曲を作るときは、編集も全て終わらせた「完パケ」として完成させていました。それをラジオやテレビで流すのですが、ある意味でそれは「固定された曲」になってしまっています。DJの場合は、毎週のように開催されるイベントで試し打ちをして、お客さんの反応を見ながらベストなものを作り上げていくことができるんです。もしイベントで盛り上がらなかった部分があれば、持ち帰って再編集してみることもできるんです。僕は、DJをアーティストではなくメディアとして考えています。自分自身がラジオやテレビとしていろいろと試しながらアレンジを加え続けていくことができるんです。それがすごく面白いところで、はじめから完成させるのではなくて、最終的に完璧な作品として仕上げていくことができるんです。

――音楽活動でライブはとても重要なものだと思うのですが、DJにはライブが常にあって、そこで常に作品が更新され続けていくということでしょうか?

そうですね。ラジオに例えると、レギュラー番組を持っていて、そこで新しい曲を流すことができるというようなことです。DJではさらに視聴者の声を聞きながら作品を作り上げていけます。自分一人で制作をして、編集をして、宣伝も試していく……。これこそがDJであり、DJの魅力だと思うんですよね。なので、デメリットとしては孤独であるということはありますね。ちょっとした失敗で会場のお客さんが冷めてしまうこともあるし、そうした全ての責任が自分にあるんです。まあ、僕はそういう孤独感も楽しんじゃってるんですけどね。そのような孤独を感じるんですが、クラブで友だちも増えるし、それによって勇気も出てくるし。すごくチャレンジ性の高い仕事の一つだと思います。前までは法的に少しグレーな部分のある仕事でしたが、この6月から風営法も改正されて、朝5時までクラブで人を踊らせてもいいということになりました。これからはDJに興味を持つ人がどんどん増えていくんじゃないのかなと思います。

――風営法改正は一つのトピックですね。こうした文化の流れに対して、マークさんはどのように活動していきたいと思いますか?

常に音楽の現場にいたいんですよね。僕はおそらく、スタジオにこもって音楽を作って、コンサートで完成したものを披露するというよりも、常に現場で作り上げていく現場主義な人間なんです。DJで曲を披露するのは1回のステージで1~2時間程度です。選曲も順番も事前に全て決めて、プレイを作り込んでからステージに上がってしまうと、もし会場の雰囲気に合わなかった場合に、盛り上げることができず取り返しのつかないことになってしまいます。例えば、黒人のお客さんが多くてレゲエ音楽が求められているのに、1曲も持っていないから盛り上げることができないという事態になることがあるかもしれません。そうではなくて、DJはメディアなので、お客さんに合わせたプレイをしないといけないんです。いろんなジャンルの曲を全部USBに入れて、うまく対応できるようにしておく。そうすると、「レゲエでここまで盛り上げていって、ここでglobeの『DEPARTURES』をかける」なんていうふうなプレイができて、普段レゲエを聴いている層に、「今日のglobeの曲よかったよね」と思ってもらえるかもしれない。なので、もしその日の会場にいる人たちが、男の子ばかりだったら、女の子ばかりだったら、外国人がたくさんいたら、プールサイドだったら、ラウンジだったら……。どんな曲だと楽しんでもらえるのか、そのときのお客さんや場所の雰囲気を感じてプレイするのがDJなんです。これからはコソコソすることなく、堂々と朝まで踊らせることができるので、だんだん日本の音楽シーンも盛り上がってくるんじゃないかと思います。

――DJについてフランスの専門学校で勉強されたということですが、国家資格を取得されたのでしょうか?

フランスの学校では30人中僕ともう1人だけが資格を取れたんです。あとの28人は脱落するくらい厳しかったですね。DJの仕事は1時間のオンステージがすごく華々しく見えるんですが、それ以外の時間はすごく淡々としています。音をいじったり、曲を探したり、映像や照明なんかも考えたり……。先ほどここのクラブのDJさんも、自分でフライヤーを作ったりしていましたし。ステージに立つことだけが、仕事ではないんですよね。さっき言ったようにDJは孤独なので、配線のトラブルがあったりしたら、全部自分で対処できるようにしておかないといけません。そういうことも僕は学校で学びましたし、今回のDOD『マーク・パンサーのDJ SKOOL!!!!!!』でもそのあたりをきっちりと盛り込んでいますよ。

――DJとしての精神やテクニックを学ぶことのできる施設や機関が日本には多くはなくて、独学で勉強するしかないという話を耳にすることがあります。

フランスでは国から国家資格として与えられるんですよ。それによってお店に紹介されることもあるので、日本でもそういう国家資格ができるときが来ると思いますね。今僕がやっている「SMILE HOBBY ACADEMY」も、申請したら資格が取れると面白いんじゃないですかね。資格を取るという目標に向かって努力することができるし、資格が取れたら自分の誇りになったりしますから。
日本にはDJの学校がなくはないんですが、かなりお金がかかってしまうんですよね。さらに機材も買うとなると何百万、何千万円とかかります。でも今の時代は2万円くらいのコントローラーさえあれば、基礎を押さえて実践することができますし、DODではスマホでもできるようなプレイも紹介しています。技術的には独学でもなんとかなるんだけど、考え方を身に付けるのは難しいかなと思います。最近、独学でやってる子たちのパソコン内に違法ダウンロードの曲があることや、曲にお金をかけていない場合が見受けられます。今の子たちはストリーミング再生で音楽を聴くことに慣れているから、CDを買うという習慣があまりないのかもしれないと感じます。でもDJはアーティストの音楽で商売をしているので、アーティストを思い切りリスペクトしなければならないんです。そういうDJの精神も勉強する必要があると考えて、JASRAC(日本音楽著作権協会)についてもDODではお話をしています。

――さきほどのマークさんのDJには、globeに対する愛にあふれていたので、アーティストへのリスペクトがDJには必要だというお話につながってくるのだなと、感動しています。
愛がないとやらないですよ!(笑) 僕も遊ぶほうに回りたいですもん。ステージにあがっているときはすごく孤独なんです。誰でもできることではないですし、かっこいいんですよね。フランスでは「Spotify」という音楽ストリーミングサービスが流行っていて、常に音楽を携帯できるんです。それを使って、僕が曲をつなげているところを13歳の娘が見ていて、「教えてほしい」なんて言ってきて。その娘の笑顔を作るために教科書も作り始めたんです。フランスではレストランや美容室、ホテルにだって、いろいろなところにDJがいて、曲をかけているんですよ。だから、フランスのオリコンではベスト10に必ず4~5人くらいDJの曲がランクインしています。そういう時代が日本にも絶対これから来ると思うんです。

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