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globeデビュー21周年記念! マーク・パンサー氏が語る過去、現在、未来について(後編)
2016年8月5日


6月に風営法改正が成立し、ナイトシーンやクラブカルチャーの復活や活性化が期待されています。今回は、8月にデビュー21周年を迎えるglobeのメンバー、ミュージシャンでモデルのマーク・パンサー氏にインタビューしました。2011年にメンバーのKEIKOがくも膜下出血で倒れ、globeは活動休止となり、自らDJとして活動を始めたマーク氏。実は、フランスの専門学校でDJの国家資格を取得。DJイベントでは、globeの曲をかけることや、曲を新しくリミックスしたアルバムを発売するなど、精力的に活動の幅を広げています。そんなマーク氏にとってDJの魅力とは何か、イベントの場を盛り上げるDJの極意などを伺ってきました!

前編はこちら

 

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あの頃を振り返ると小室さんとの生活は、僕にとって「ここに何かがある」と思えた

――globe結成20周年というのは、マークさんにとってどのような節目でしょうか?

もうずっと続いているんですけどね。喧嘩もしたことないグループだし。すごく仲がいいから、普通はもうみんなバラバラになってしまう状態だと思うんです。そうではなくて、小室さんやKEIKOに呼ばれれば、すぐに行くというような関係値なんです。そんな3人だから、20年たっても30年たっても一緒なんじゃないですかね。だから変わったとしたら、その20年で、すごく勉強をして、ちょっと進化したという感じじゃないですかね。DJを始めてから、特に進化を感じますね。音を作り、音を流し、1時間という盛り上がりの階段を作るという、全てができるようになったということですね。昔はそれら全て小室さんがやっていたので。小室さんに押し付けて、僕はボソボソしゃべっていればよかったじゃないですか。そうではなくて、今はそれを全部作り上げられるようになったんですよね。globeを学校だとしたら、今は次の学年に上がったというように思います。

――マークさんはほかのDJの方を勉強として聴きに行ったりするんですか?

しょっちゅう行きますよ。みんなそれぞれスタイルがあると思いますが、トップDJはやはり考え方がしっかりしていると感じますね。そういう人たちこそ、その場の雰囲気にあわせたプレイをしているように思います。例えばR&Bが好きなお客さんが多かったら、やっぱりR&Bを混ぜながらどうにか自分の世界に連れて行くようにプレイしようとするのですが、そういうこともトップDJはすごく上手ですよね。あとは、DJって体力勝負だと思っています。朝4時頃のイベントに出演した後、ほかのDJさんの誕生日に挨拶しに行くこともあります。そこにちゃんと行って、交流を深めることもDJでは大事だと思います。眠いからと言って、眠くなってたらダメだし、時には、酒も飲まないといけない。だから自分の管理というのはすごく大切なんです。これはどちらかというとglobeの方ですごく勉強したことなんですけどね。睡眠は削っていましたし、今でも1日1食という習慣のままです。できるだけお腹を空かせるんですが、これが体を普通に戻すために最良なんだって信じているんです。たくさん食べると逆に病気になるという考えだから、自分の出番が終わるまでは起きてから何も食べないんですよ。ステイハングリーを保つんです。炭水化物とタンパク質は同時に食べないので、4時間ですぐに消化してしまって、またハングリーになれるんですよ。DJも一緒だと思うんですよね。そんなことを考えながらやっているから、健康でいられるんじゃないですかね。

――globe時代、小室さんとの関係ってどのような感じだったんですか?

僕は、小室さんの後ろで観葉植物のようにスタジオにいたんです。呼ばれてなくても常にいて。なんか小室さんがそわそわしていたら「どうしました? 何か買ってきましょうか?」なんてマネージャーのように声をかけていたんです。それを十何年も続けてきたんです。例えば、小室さんが疲れ切っていたら「逃げましょうよ」ってイギリスに連れて行っちゃったということもありました。そうして常に傍らにいると、小室さんは「ここにラップ入れてよ」「この曲の詩を書いてよ」なんて言って仕事をくれるんです。それなのに僕が「もう疲れたから寝よう」って放りだしてしまうと次の仕事にはつながりません。今も、自分のプレイが終わった後にオーナーさんやお客さんと一緒に飲んだりします。だからglobe時代で習ったことはそういうことですよね。マネージャーたちも全員帰っても僕は帰らなかったんです。小室さんとは一緒に住んでいた時期もありました。ロスまで行って、小室さんの豪邸のそばにある小さな小屋で、3年くらい住み込んでたんです。振り返ると楽しいのですが、自分の生活は二の次でしたし、周囲から見ると「何してんのマーク」って感じだったと思うんですけど、僕には「ここに何かがある」と思えたし、勉強になることばかりでしたね。

――よく読書をされているとのことなのですが、本を好きになったきっかけは何でしょうか?

ハードボイルドの本にすごくハマった時期があって、それから毎日読書をするようになりました。北方謙三さんの歴史小説にはじまり、いろいろと読んで本が好きになり、フランス語の作品も読むようになりました。それから英語の作品を娘に読もうとしたとき、英語は僕の母国語じゃないので、電子書籍で読むようになったんです。電子書籍だと分からない単語があっても、そのまま辞書が出てきてくれるじゃないですか。それは娘にとってもすごくプラスだったと思うし、娘が3ヶ国語ペラペラになったのは、電子書籍のおかげだと思うんです。僕はiPadを全部防水にしてお風呂でも読めるようにして、常に身の回りのどこかに本がある状態にしています。

――フランスと日本を行き来する長いフライトの時もやはり電子書籍をお読みになるんですか?

音楽を聴きながら、電子書籍を読んでいます。紙書籍の方が好きではありますが、電子書籍はかさばらないので、そちらを飛行機に持ち込むという感じですね。毎週飛行機に乗っていると、たくさんの荷物は持てませんから。紙書籍もたくさん持っていますから、本棚はすごいですよ! このまえブログで写真を上げましたが、あふれそうなくらいになっています。

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マークさんブログより http://ameblo.jp/yulpinson/entry-12173893823.html

――マークさんのオススメの本を教えて下さい。

スウェーデンの作家、スティーグ・ラーソンの『ドラゴンタトゥーの女』に始まる「ミレニアムシリーズ」が面白かったですね。3巻まで発表されていたのですが、作家が急に亡くなってしまって。でもパソコンに原稿が残っていたようで、新しい作家の手によって4巻が昨年出たんですよね。この作品は暴力がメッセージとして強く書かれているのですが、先ほどから言っている僕の考える「人のために生きる」という部分につながっていくんです。この作品はすごく面白かったです。
あとは、英語版のみになってしまうのですが、『英国情報局秘密組織チェラブ(CHERUB)』という作品です。娘がスパイものの作品が好きで、一緒に読んでいるうちに僕もハマっちゃいました。主人公は13歳の少年で、親のいない子どもや不良の子どもたちを集めたスパイ養成学校みたいな感じのところに連れていかれて、子どもはだれも怪しまないからって、子どもだけのスパイ機関に集められるんです。子ども向けではあるんですけど、一緒に読んでいると、また面白いんです。
でもやはりハードボイルドがずっと好きですね。北方さんの『水滸伝』『三国志』『楊令伝』も、長編歴史小説ですが、最後まで本当に面白くてあっという間に読んでしまいますよ。北方さんが書くと悪役のはずなのにかっこよく見えてしまいますし、全員いい感じだから泣けてしまいます。あとはこれも歴史小説になるのですが、出光興産創業者の出光佐三をモデルとした『海賊とよばれた男』(百田尚樹)、村上水軍の当主・村上武吉の娘を描いた『村上海賊の娘』(和田竜)など、本屋大賞を受賞するなど話題になった作品はだいたい読んでいますね。

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