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看護師と絵本作家の二役を担う、友弥.先生だから絵本で描けること
2016年8月9日


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何がベストなんだろうと考えることが重要なんです

――15年前から絵本を描く活動をしてきたとお伺いしました。絵本作家の活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

もともと絵を描くことは好きでしたが、絵本をつくりたいと思い始めたのは、ちょうど甥っ子が産まれた時期でした。その甥っ子があまりにも可愛くて、「嫌われたくないな」と思ったんです。口うるさいおばちゃんにはなりたくなかったので、じゃあ絵本で大切なことを伝えようと、甥っ子のために描き始めました。自分の中で伝えたいことがあったら、それをストーリー仕立てにして絵本にしました。なので、甥っ子の存在が、創作の一番のきっかけだったのかもしれません(笑)。結局それを甥っ子に見せることはなくて、出来上がったことに満足してしまうところがあって、パソコンの中に取り込んで、終わりというかんじでした。
なので、家族も私が絵本を描いていることすら知りませんでした。初めての絵本出版が決まった時に、「絵本を描いていたんだね」と言われたぐらいです。そのときから初めて自分で、「絵本作家です」と名乗るようになりました。それまでは、本当に趣味の一つとして絵本をつくっていたようなかんじです。

――これまでに絵本を3冊描きあげていらっしゃいますが、それはどういう経緯で出版されることになったのでしょうか。

看護師として北海道、大阪、東京へスキルアップのために移動していたんですけど、東京に出てきたときに休日の予定がなかったので書籍コンクールに応募しました。それが偶然、出版社の方の目に留まって、出版に至ったんです。そのときの絵本は、病院で一緒に働いていた看護師さんに向けて描きました。その看護師さんは、笑顔がとても素敵な方だったんです。でも普段はキリッとしている方だったので、「もっと笑った方が素敵なのになあ」と思い、『心の鏡』という絵本を描き上げました。

――友弥.さんは、絵本でこれから何を伝えていきたいですか?

考え方次第で世界の見方が変わるということを絵本で伝えていきたいです。というのも、看護師の仕事で学んできたことが、絵本づくりにつながっていると思っているんです。
当たり前ですけど、患者さんは病気や怪我の治療のために入院してきます。病気になった時点で、心も病気になってしまう人は多いです。今までポジティブにものごとを考えられていた人が、病気になったことでネガティブに思い込んでしまうことがあります。例えば、早期発見で、大きな手術をしなくても治る確率が高い患者さんが、がんの告知をされて「もう私は死んでしまうんだ」と言う人がいたとします。その患者さんの気持ちを、どういうふうにプラスに持っていこうかと考えることが、看護師の仕事の一つなんです。今の例え話だと、早期発見で治療で治る確率が高いことを伝え励ますことができます。でも、もし見つかるのが遅くて完治が難しい人も、同じように支える必要があります。
例えば、末期がんの患者さんに「僕は、あと何日生きられますか?」と言われることがあります。私たちも、もう今月生きるのが精一杯だろうと感じているとします。ベテランの看護師さんでも、何をしゃべったらいいのかわからなくなるんですね。
そういうときに、相手の中のベストは、どういう言葉をチョイスするといいのかをとても考えます。それは、相手にとってのベストであって、自分のベストじゃないので、たまには真実からかけ離れたことを言う時もあります。
何がベストなんだろうと考えることが重要なんです。その人にとっての状況判断とピッタリの言葉のチョイスをすることを心がけています。とても難しいことなんですけど。みんな同じ症状だからと、同じ言葉をかけることがいいというわけでないですよね。看護師の職業に限らず、その人のことを考えてあげて、言葉をチョイスすることは、日常生活にも役立つのではないかと思っています。
看護師の基本の「教え」で、「時には父であれ、母であれ、子どもであれ、おじいちゃんであれ、おばあちゃんであれ」という言葉があります。患者さんにとって自分がどの立場で接するかが大事なんですよね。家族や、母親、自分の子どもに対しての「無償の愛」は、いくら自分が尽くしても、同じだけ相手に尽くしてもらおうという考え方じゃないですよね。自分の膨大な時間を費やして子どもを育てたら、子どもが大きくなったときに、それと同じだけ自分に返してほしいというわけではないですよね。それが、カップルや他人になってくると、こういうふうにしてあげたのに、どうしてあなたは私にしてくれないのってなってしまうことがあります。「無償の愛」は、見返りを求めない愛なんです。そうじゃないと相手の気持ちは考えられないよという「教え」なんです。それを患者さんに看護師という立場でしなくちゃいけない。
家族の中でも、旦那さんへの愛と、子どもへの愛は同じではないとは思うんだけど、でも「自分が愛した人」というくくりで考えてあげたら、「無償の愛」にもつながるのかもしれないですね。もし「無償の愛」を日常生活や夫婦間でもすることができたら、少しだけ毎日が幸せになるんじゃないかなって思います。深い愛情で結ばれるから、きっと別れにくくなると思います。
結局、看護で学んだ教えが、自分に合っていたんだと思います。それが最終的に絵本というかたちでアウトプットできているような気がします。なので、看護師になっていなかったら、私の絵本は生まれていなかったかもしれません。

>次ページ「生活に取り入れたくなるような絵本をつくりたい」



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