
政治教育で政治や社会問題の敷居を下げることをしたい
――「笑下村塾」の活動は、具体的にどういうことをされているんですか?
たかまつ 高校や大学を回って、出張授業をしに行くことや、「コンテンツ」を作ることですね。
会社を設立したのが4月、18歳以上が投票する7月の選挙権に向けてまずは活動してきました。高校生にも興味を持ってもらえるよう、「3分間で分かる民主主義」や、カードゲームの「人狼ゲーム」に仕立てて、「悪い政治家」を見抜く参加型の「コンテンツ」を作り、主権者教育をメインに活動していました。
でもこれからは政治や社会問題に広く関心を持ってもらえるような活動をしていきたいと思っています。「笑える! 使える! 政治教育ショー」の「コンテンツ」を使って、全国各地に出張授業をしていきたいです。経済や哲学の話などは、目に見えにくくて、とっつきにくいと思います。そういう分野や学問を45分くらいの授業形式で、それら学問について勉強したいという気持ちになってもらえるような、敷居を下げることをしたいなと思ってます。
例えば、今は国際協力機構(JICA)さんと一緒に、発展途上国の現状や、国際協力をすることの目的や課題など、日本が国際協力をすることの意義について考えることができるコンテンツの開発をしています。ジャンルをどんどん広げていきたいなと思っていますね。
――「笑える! 使える! 政治教育ショー」の出張授業は、クラウドファンディングでお金を集められていたんですよね? どうしてクラウドファンディングを使おうと思われたんですか?
たかまつ 出張授業をしに行く高校が、全然予算がなくて(笑)。私立は少し別ですけど、公立の学校で外部講師を呼ぶのにそんなにお金をかけられないのが、現状です。さらに東京から離れた地域になると、交通費もかかりますよね。以前に、北海道にある高校からお問い合わせをいただいた時に「(交通費が)ちょっと払えないかもしれません」と言われたんですよ。どうしようと思って(笑)。私もボランティアできるほどの余裕がそんなにあるわけではなかったので、無理だなと思ってあきらめました。でもそればっかりじゃもったいないなと思って、それだったら想いのある人から出資してもらえばいいんじゃないのかなということで、クラウドファンディングを始めました。
――実際に、クラウドファンディングをされてみて、いかがでしたか?
たかまつ 6月の中旬くらいから、7月10日までの1ヵ月くらいで集めました。本当にたくさんの方からご支援をいただいて、すごく嬉しかったです。法人向けのプランを作っていなかったので、134万4千円というこれだけの金額を集められたことは、そういう意味ではすごいと思います。
私としてはいつか、もっと他の芸人さんとかも巻き込んで、「芸人さん100人で行く出張授業プロジェクト」というのをやりたいと思っていて。私ひとりでボランティアで学校を回るのは限界があったり、スケジュールが合わなくて回れなかったりもします。でも、もし同時に回れる人が3~4人いたら可能なことだし、もし100人いたら可能性はもっと広がるじゃないですか。でもやはりボランティアのままで活動を続けるとしたら、本当に継続することが難しいです。想いがある人であっても、それぞれの事情で一緒にできないこともあるでしょう。クラウドファンディングから、そういう人たちのギャラを払えたらいいのになと思ったんです。主旨の説明で、「集まった金額によってできることを変えます」というのを明記しましたが、現在のこの額だったら無理だろうなと思って。だから今は基本的にはひとりで回って、たまに先輩の芸人さんにも参加していただいている感じですね。
――他の芸人さんで、政治に熱い想いや興味がある方って多いんですか?
たかまつ そうですね。ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんとか、すごく興味を持たれていますね。会社を設立したときも、伊集院光さんや、小島よしおさんにご相談にのっていただきました。そういうところにちょっと勉強がてらに行ってみたいという人もいます。お金の問題さえクリアすれば、「芸人さん100人で行く出張授業プロジェクト」は、芸人さんを巻き込むということに関して、そこまで難しいことではなさそうだなと思っています。
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