電子書籍ランキング.com初のインタビュー企画第一弾、剣名舞先生のインタビュー後編です。剣名先生は 東山紀之主演でドラマ化された『ザ・シェフ』、名取裕子主演でドラマ化された『女医レイカ』など人気漫画の原作を手がけています。前編では剣名先生に「漫画原作とは?」、「先生が漫画原作者になったきっかけ」など、先生の過去の話を中心にお伺いしました。後編では「電子書籍について」や、5月11日より剣名先生が脚本・演出を務める舞台『タイムカプセル』についてお話を伺いました。
前編はこちら
ポイントは「キャラクター」
(編)先生は数々のヒット作を生み出されていますが、何かコツやポイントがあるのでしょうか?
(剣名先生)やっぱり「劇画村塾」でも学んだ、その漫画の中の「キャラクター」づくりが重要だと思います。みんなから愛されるキャラクターをつくることができればストーリーは後からついてきます。
私は今、大阪芸術大学でキャラクターについて教えていますが、学生に対しては、まずキャラクターの履歴書を書かせます。ストーリーについては、書きたい話を「一文ストーリー」で書かせて、その「一文ストーリー」が面白くなければ、その話は絶対面白くないと指導しています。そうしてできた「一文ストーリー」の中でキャラクターを膨らませていけば、面白い話ができあがるんです。
電子書籍は作家側へ還元する仕組みが必要
(編)我々のサイトは「電子書籍ランキング.com」という電子書籍をテーマにしたサイトなのですが、剣名先生は電子書籍を読まれますか?
(剣名先生)もちろん読んだことはありますよ。ガラケーの時代は、書き下ろし漫画の原作を書いていましたし、『タイムカプセル』や『女医レイカ』など私の作品だけでも100本以上は電子書籍として配信されています。ただ私は紙で育った世代なのでやはり紙の本や漫画を読むことが多いですね。
(編)ここ数年、紙の本が売れなくなっていると言われていますがどう思われますか?
(剣名先生)実際その通りだと思います。私は紙の本が好きですが、時代の流れとして電子書籍は無視できない存在でしょう。若い世代の方の中には、紙の本は読まなくても電子書籍なら読むという人もいると思いますが、私は単に作品を読者に届ける媒体が変わっただけだと思っています。
(編)電子書籍になかなか理解を示されない作家さんもいらっしゃるとは思うのですが、先生はそういったことはないんですね。
(剣名先生)はい。ただ、電子書籍は無料で配信されているものが多く、作家側に還元されるものが少ないということがあるようです。これは無視できない。作品を無料で配信して、広告を掲載し、そこからお金を生み出すというビジネスモデルは理解できるのですが、現実問題として過去の作品の配信だけでなく新しい作品を生み出していくためにはもっと作家側へ還元される仕組みが必要なのではないでしょうか。