今回は、デビュー7周年の日に文庫版『命の後で咲いた花』を出版された綾崎隼先生にインタビューをさせていただきました。綾崎先生は、これに合わせて第16回電撃小説大賞《選考委員奨励賞》受賞作でデビュー作でもある『蒼空時雨』を含む『花鳥風月シリーズ』も電子書籍化されました。
『命の後で咲いた花』の文庫化の経緯や電子書籍化に踏み切った理由、そしてファンにはたまらない綾崎先生の裏側に迫りました。
再び文庫の形で読者の皆様にお届け出来ることが素直に嬉しい
―― デビュー7周年おめでとうございます。今回は、ちょうど4年前にデビュー3周年記念として初の単行本で出された『命の後で咲いた花』が、文庫版で出版されます。まずは、この文庫化にいたった経緯を教えて下さい。
綾崎 実は、文庫化の話は2年くらい前に打診されていたのですが、単行本を購入して下さった読者のために3年はあけたいと思い、今まで延期していました。
ジャンルとして<難病もの>が、はっきりと嫌いなので、この物語を書くとなった時、自分が一体何に嫌悪感を覚えているのかを理解するため、三十作以上、同ジャンルの作品を読み、映画も沢山チェックしました。そういったリサーチを経て完成させた作品ということもあり、出来上がった物語は本当に気に入っていますし、読み切り作品としては、もしかしたら一番上手く書けた物語かもしれないと、今でも思っています。
そんな大切な作品でしたので、単行本が入手しにくくなった今、再び文庫の形で読者の皆様にお届け出来ることが素直に嬉しいです。私のように不治の病を題材とした作品が苦手という読者は、大勢いると思いますが、そういう人にこそ手に取って頂きたい本でもあります。文庫化を経て、もっともっと沢山の人に読んで頂けるよう、切実に願っています。
―― 今回は、文庫化にあたり後日譚を書きおろしたということですが、単行本のラストからどのぐらい後のお話になるのでしょうか。また、単行本を読んでいた読者にとって気になるのは、主人公二人の関係だと思いますが…。
綾崎 後日譚は時系列的には、ひねりなく本編エピローグの直後から始まっています。ただ、視点主となるのは本編の主人公だった二人のどちらでもなく、看護師の亜紀となります。亜紀は主人公の一人でもある透弥の唯一の友人です。その彼女の目線から、本編の少し先の物語を描いています。
>次ページ「電子書籍化は、偶然に起きた衝撃的な出来事と担当者の一言で決まった」