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【直木賞作家 恩田陸インタビュー】構想から12年、『蜜蜂と遠雷』に込めた想いとその背景とは?
2017年4月4日


2017年1月に第156回直木賞が発表された。これまで過去5度にわたって直木賞にノミネートされるも惜しくも受賞を逃すという苦渋を味わった恩田陸が、今回『蜜蜂と遠雷』でついに受賞に至った。総数507ページかつ2段組の構成となっている長編作品の本作だが、発表から3ヶ月が経とうとしている今もなお多くの読者に読まれている。その人気は紙書籍だけでなく、電子書籍においても衰えるところを知らず、Amazon kindleなどの日本の主要電子書籍ストアのランキングでも上位を獲得している。

電子書籍ランキング.com編集部では、直木賞受賞作家である恩田陸さんに、直木賞を受賞した時の気持ちや受賞作『蜜蜂と遠雷』について、構想から12年もの長い歳月をかけて書き上げた本作にかけた思いを伺った。『蜜蜂と遠雷』のオリジナル書評はこちら

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直木賞受賞は本当にホっとしました
————第156回直木賞受賞おめでとうございます。受賞された率直な感想を教えて下さい。

恩田陸(以下、恩田) 一番にはやはりホっとしましたし、受賞後は改めて、直木賞受賞の反響が大きいとすごく思いました。特に、受賞後に関して言えば、町の本屋さんに行っても大々的に露出して頂いていましたし、周りの方がすごく読んで下さっていると聞いたときはすごく嬉しかったです。作品を読んだ人がまた別の人に勧めているという話も聞いていますので、とても読まれているなという実感は受けました。特に今回はページ数だけでも507ページもある上に2段組というとても長い作品構成だったので、殊更に嬉しかったです。

————6度目の直木賞ノミネートを経ての今回の受賞ですが、受賞する手ごたえはありましたか?

恩田 ノミネートが決まった時に、本作で受賞を逃したら洒落にならないなというのは感じていたので、プレッシャーが一番ありました。先ほども言いましたが、本当にホッとしたというのが一番の印象です。この作品は書籍化される前に長期間連載していたのですが、連載が終わったときに「これ以上書かなくていいんだ」と思った作品です。だから、直木賞受賞という一番いい形で評価されたという事だけでも感慨深く、ホッとしています。

————弊社で集計させて頂いている電子書籍の総合売り上げでは1位を獲得されているのですが、電子書籍でも読まれているというのは実感としてありますか?

恩田 読まれている実感としてはあまりありませんが、kindleなどの電子書籍ストアで購入された方が、その後紙書籍でも購入されたという方がいました。紙書籍はかさばるので、電子書籍で購入しても良いかもしれませんね。

————紙書籍だとかさばるという意見は良く聞きますし、最近は電子書籍で本を読む方が増えてきているようです。恩田先生は、電子書籍で本をお読みになられますか?

恩田 電子書籍では読んでないです。私はいまだに本屋さんでしか本を買いません。電子書籍には抵抗感がありますし、やはり紙書籍に馴染みがあります。
ただ、マンガを読むには電子書籍もありかなとは思います。とてもじゃないけどマンガ全巻は持ち運べないし、それこそ『ゴルゴ13』や浦沢直樹さんの『MASTERキートン』とか『MONSTER』とかを一気読みしたいときがありますね。私は、紙書籍で原泰久さんの『キングダム』という現在45巻まで発売されているマンガを読んでいるのですが、まだ序盤までしか読んでいなくて統一する気配もありません(笑)。すごく巻数が多いマンガに関しては、電子書籍も良いですよね。あと、個人的には文学全集や個人の全集もあると電子書籍で読もうかなと思います。

————恩田先生は愛読家だとお伺いしていますが、普段はどのような作品をお読みになっているのでしょうか?

恩田 文庫本や新書をいつも読んでいます。最近読んで面白かった作品では、竹書房文庫から出ているデイヴィッド・バルダッチさんの『完全記憶探偵』という作品が面白かったです。あとは新書になりますが、国谷裕子さんの『キャスターという仕事』という作品もすごく面白かったですね。もちろんノンフィクションも好きで読むのですが、資料として読んでいる部分もあります。
例えば、過去の作品に『消滅』という作品があります。その作品では、視覚を補うソフトを舌に装着するというお話は、ノンフィクションのものから参考にして書きました。わりと科学技術関係の本はヒントになることが多いです。

>「人間同士じゃないと影響し合えないものがある」



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