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「このマンガがすごい!2017」のオンナ編第1位&「マンガ大賞2017」第2位で大注目の『金の国 水の国』作者・岩本ナオ先生に迫る
2017年4月28日


「このマンガがすごい!2017」のオンナ編で1位となり、「マンガ大賞2017」でも2位となった作品『金の国 水の国』。同作品は、「マンガ大賞2017」にノミネートされた他の作品とは違い一巻で完結していながらも、非常に高い評価を受けた作品だった。

今回は、『金の国 水の国』の作者である岩本ナオ先生に、同作品から幸福感を味わえる魅力や、憧れているマンガ家の先生、現在連載中の『マロニエ王国の七人の騎士』とその取材旅行のエピソードまでたっぷりお伺いしました。

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画像は、『金の国 水の国』の1ページ目

読み切りの予定が全8話の大作になった

―― まずは、『金の国 水の国』が「マンガ大賞2017」で第2位ということで、おめでとうございます。

岩本ナオ先生(以下、岩本) ありがとうございます。

―― 今回の2位という結果に関して、現在の率直な感想をお伺いできればと思います。

岩本 素直にすごく嬉しいです。「このマンガがすごい!2017」のオンナ編1位という結果もですが、自分には賞とかはあまり関係ないと思っていたので。『金の国 水の国』を描いている時は、「もうまんがは無理かな」と感じながら描いていた時期で、一冊にまとまるとかも全然考えてもなかったし、こういう結果になるとも思っていませんでした。
賞を頂いたことは嬉しいんですが、自分はそんなに売れるまんがを描いているつもりはあまりなくて、まんが好きな一部の読者さんが頑張って読んでくれるようなまんがを描いている感じでした。デビューして13年目ぐらいですが、初めて表に出された感じがして、なんだか落ち着かないです(笑)。

―― 先生の受賞というと、デビュー前に小学館の月刊フラワーズが開催している「フラワーズ コミックオーディション」の第10回の時に金の花賞を受賞したことがありますが、やはりそれとは違いますか。

岩本 ですね。「フラワーズ」という雑誌自体が、まんがが好きな人が読む雑誌みたいな所があるので、やはり今回のように一般の方が目にする賞とは違いはあると思います。

―― 「このマンガがすごい!2017」の1位や「マンガ大賞2017」2位などで、作品の評価を聞く機会が増えたと思いますが、どのように感じていますでか?

岩本 もっと面白くないって言われるかなと思っていたのですが、意外にみんな優しくて、あまり批判的な意見が多くなかったのは、少し安心しました。

―― 作品についてお伺いしたいのですが、前作の『町でうわさの天狗の子』は少しファンタジックな学園恋愛ものでしたが、『金の国 水の国』はガラッと変わってTHE王道の少女まんがのラブロマンスと絵本に出てくるようなファンタジーが融合された物語になっている印象です。この物語ができたきっかけをお伺いできればと思います。

岩本 ちょうど前作から1年ぐらいまんがを描いていない時期で、フラワーズ編集部からも描いてほしいと言われてまして……。
すぐに描けるものって考えた時に、以前に『紅い果実と花飾り』というファンタジーの読み切りを描いたことがあったのですが、それはすぐにネームも出てきたのを思い出して、「早く描けるし、ファンタジーにしよう」って決めました。男のキャラクターも前作の『町でうわさの天狗の子』で出てきた三郎坊が女の子から人気あったのを思い出して、じゃあ三郎坊みたいなヤツ出しとこっか、みたいな感じで決めました(笑)。

編集 早く描いてほしいと言われて、ファンタジーを選ぶ人はあまりいませんね(笑)。設定や世界観を作らなければいけないので、普通は時間がかかるんです。

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ナランバヤルとサーラの印象的な出会いのシーン

―― ですよね。そもそも読み切りっていう話が、全8話まで増えた経緯はなんだったんでしょうか。

岩本 終わらなかったからです。描いてたら、終わらないなと。もうちょっと描かなきゃ話が伝わらないと描き進めているうちにどんどん長くなっていました。

編集 元々は読み切りだったのですが、本当に面白い作品ですし読者人気も高かったので、編集部としては伸びる分はいくらでもという感じでした。最初の表紙巻頭に「前編」と大きく掲載していましたが、次からはそっと「2話目」となりました(笑)。
ただ、区切りが必要なので一応6話でまとめることを目指してもらいました。というのは通常のコミックスというのは1冊が192ページで、大体6話で普通のコミックス1冊分になるんです。

岩本 そうなんです。で、6話を目指して頑張っていたら、それでも終わらなくて7話にしてもらったんです。でも、7話が104ページもの長さになってしまい……。

編集 雑誌自体は500ページ弱なので、さすがに100ページ以上を一気に載せるわけにもいかず、2回に分けさせていただきました(笑)。

―― じゃあ、7話と最終話は一緒だったものを連載の関係上で2つに分けたと。

岩本 そうですね。で、担当の方から「ここが(分ける区切りとして)美しいのではないか」ということで、この見開きの箇所で分けました。
結果として美しい形で終われましたし、1冊完結ということで周りの人にすすめやすい作品になったんだと思います。

>次ページ「まんが家になって初めて思った通りの絵が描けた」



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