
取材のために行ったというスペインの古城の絵
実は先日、取材でスペインのお城に行ってきました!
―― 話は変わりまして、岩本先生がまんが家を目指したきっかけについて教えてください。
岩本 昔からまんがが好きで、小学3年生ぐらいの時にまんが家になりたいなと思って、そのまま来ちゃった感じです。
―― 実際に描き始めたのっていつぐらいだったか覚えていますか?
岩本 最初に24ページのまんがを1本、作画して、ペン入れして、全部仕上げたのが大学生ぐらいの時ですかね。
―― それ以前に遊びとかでまんがを描いたり、絵を描いたりしたことはありましたか?
岩本 ちょいちょいですね。絵は小学3年生ぐらいの時からずっと描いていました。中学校の時にノートにコマを割って、まんがを描くみたいな事はしていました。6ページとか、そんなに長くはなかったですが。
―― そうなんですね。小さい頃からまんがを読まれていたというお話もありましたが、どんな作品を読まれていましたか?
岩本 「週刊少年マガジン」で塀内夏子先生が連載されていた『オフサイド』です。中学生のときはずっと「マガジン」を読んでいました。弟がいたので、小学生の時は「コロコロコミック」や「ジャンプ」を読んでいたのですが、塀内先生に出会ってからは「マガジン」をずっと読んでいました。「ジャンプ」はまさに黄金期で高校生のときは『スラムダンク』が流行っていました。
少女まんがでは、田村由美先生、西炯子先生や清水玲子先生の作品を読んでいました。
―― それではかなり幅広く読まれていたんですね。ファンタジーを描くきっかけはなんだったんですか?
岩本 スタンダードな学園恋愛ものとかは、あんまり読んできてなくって。やっぱり、田村先生の『BASARA』とか、ちょっと現代ではないみたいなものを読む方が多かったですね。きっかけとしてはあまりはっきりしませんが、読んできたのが学園恋愛ものではなかったというのが大きいですかね。
思い返すと、小学生ぐらいから萩尾望都先生の作品を読んでいて、ヨーロッパ風の絵が多くて、子供心に「ヨーロッパは良い」みたいなのが植え付けられたのはあります。後は大学生ぐらいの時に、イギリスのアーサー・ラッカムなどの挿絵画家の作品にハマってしまったことがあって、そこからウォーターハウスなどの中世の絵を描く人の作品を観ていく中で、こういう絵はいいなって思ってからその世界への憧れが強くなりました。で、今こういうのを描き始めちゃったみたいな感じです。

岩本先生が興奮された、萩尾望都『ゴールデンライラック』より「マリーン」のワンシーン
――萩尾先生も「月刊フラワーズ」で『ポーの一族』の連載を再開しましたが、印象に残っている作品とかありますか?
岩本 正直、『ポーの一族』と一緒の雑誌に掲載できたので、頂点取ったなって(笑)。もういつ辞めてもいいわって気分です。
作品だと『ゴールデンライラック』という短編集の中に入っている「マリーン」という作品ですね。(「マリーン」の作中の絵をみながら)この絵が美しいんですよ!これぞ萩尾先生っていう感じの絵で。
―― やはり絵に惹かれて入られた感じですか?
岩本 絵からですね。で、それを模写する。そういえば、さいとうちほ先生も萩尾先生の絵を見ながら描いていたとおっしゃられてました。
―― ヨーロッパの話が出たのですが、ヨーロッパも結構行かれたりするんですか?
岩本 学生のときに親戚のおばちゃんに連れて行ってもらったぐらいだったのですが、……実は先日約20年ぶりにヨーロッパに行って、今連載している『マロニエ王国の七人の騎士』のお城を観てきました。スペインの田舎にあるお城です。
―― このお城は行く前から知っていたのですか?
岩本 いいお城ないかなと思って、写真を検索していたところ見つけた感じです。あまり取材旅行をしたことはないのですが、ジブリの『千と千尋の神隠し』がたまたま放映されていたのを観て、やはりいい作品を作りたいなら現地に実物を見に行かないとダメだなと思って、すぐに編集の方にお願いしました。
―― この取材に行かれた際のエピソードなどあれば教えてください。
岩本 すごい旅でした。まず、旅のコーディネーターさんに田舎の方に2ヶ所行きたいと言ったら、上級者コースですと言われて。その2つがすごく離れていて、調べたら車で5、6時間あれば行けると思ってたんです。で、それをコーディネーターさんに話したら、ピレネー山脈があるから無理だと。ピレネー山脈を車で越えたら死にますと(笑)。
編集 先生と二人で「誰だよ、車で越えられるって言ったのは」って言いながら、ピレネー山脈は避けたんです(笑)。
岩本 実際、飛行機からピレネー山脈を見たら、これは無理だなってなりました(笑)。
お城の話に戻るのですが、このお城は中がホテルになっていて泊まれるんですよ。
―― 宿泊できるんですか?もちろん、泊まったと。
岩本 泊まりました。駅に着いたら、もう目の前に城があるんですよ。田舎だし、駅から遠かったらどうしようみたいな感じだったんですけど、この駅が無人駅で改札もない駅だったんです。で、降りると目の前にお城なんですけど、誰もいない(笑)。
―― 実際に行かれてイメージも湧き、今後のエピソードなども浮かばれたのかと思うのですが、実際に宿泊してみてどうでしたか?
岩本 夜明けとかすごい鳥の声とかが聞こえるんです。ピチピチピチピチって。なんかほんとに他に音がするものがない中世にいるみたいな感じでした。宿泊した以外の部屋も見せてもらったのですが、部屋の中に普通に暖炉があったり、石作りの壁があったり、糸車が置いてあって、ベッドの周りは天蓋付きでと、本当に萩尾先生の世界がそのまんま出てきた感じでした。
編集 先生は非常に取材熱心で、ご飯も食べずに、朝から晩までずっと動画や写真を撮っていました。
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