自分が漫画家として将来どうなりたいかを考えられる作家さんでないと生き残りづらい
―― 現在、GANMA!以外にもマンガBANG!やcomico(コミコ)などコミック読み放題サイトが数多く存在していますよね。当時の環境と比べてどのように感じますか?
藍:私はアプリ漫画でデビューして以来、そのフィールドを主戦場としてやれていることは運の良い事だなと思っています。アプリで漫画を読む人と紙書籍の漫画を読む人では、お金を払う感覚に大きな隔たりがあって、なかなかそれを超えられないという話はすごく聞きます。
アプリ漫画は基本的に無料なので、学生さんなどの若い方や主婦の方が暇潰しで読むケースが多いそうで、その読者層が熱狂的にお金を出したくなるようなコンテンツにアプリ発の漫画を育てることに関しては、まだ誰も成功していないように感じます。
私の場合は特殊で、アイドルという軸があったので、アイドルに関連したお仕事を頂く場合もあったり、アプリ漫画以外で活動する場を頂く機会が多くあったので、アイドルという専門性に助けられました。アプリ漫画やWebマンガ出身としては、自分が将来どう生計をたてられるのか、編集さんや仕事で出会うと大人たちと対等に交渉ができるか、新しいプラットフォームや価値観をどう作品に取り込めるか、ビジネスマンとしての視点をもって考えられないと生き残りづらいなと感じます。だから、作家自身が無料公開する事を思考停止で有り難がってては駄目だし、そこからどうやって自分が生き残れる価値を生み出せるか、シビアに考える必要があると思います。フリーライダーの読者数やPV数にとらわれがちですが、作家として自分はどんな価値を人に与えられるのか、気をつけて生きています。
―― 藍先生ご自身は、電子書籍で読書はされますか? 電子書籍を使うきっかけや理由、こだわりを教えてください。
藍:私は両方の楽しい所だけを取って読んでいますね。ビジネス書や小説はKindleでよく買ってます。他にはLINE漫画を使って『進撃の巨人』(著=諫山創)をめっちゃ読んでいます。ニコニコ静画でも、好きな古めの少女漫画家さんの作品がたまにあるので、みつけては読んでいます。なぜ電子書籍かというとCD以外のモノを物理的に積むスペースがないからです。一方で、オードリー若林さんの本はいつも紙書籍で買っています。推しごとに感覚が近いからかもしれません。
ヲタ夫も漫画好きで、毎週、『週刊少年ジャンプ』(集英社)と『週刊少年マガジン』(講談社)と『週刊ヤングマガジン』(講談社)を買っています(笑)。最近では、そういう人は少なくなってきていますよね。
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