私自身がキキとして生きたい
―― キキは13歳で魔女になるため知らない町で一人暮らしを始めますが、それに関してはいかがでしょうか。
上白石 キキと同じ13歳の時に、私も鹿児島から東京に出てきたので、そこの部分はすごく重なるなって思いました。キキが不安だったように私もすごく不安な気持ちを抱えて上京してきたので。私もキキと同じようにこれからもっと成長していかなきゃいけない、そこの部分は同じなので、舞台を通して一緒に成長していけたらいいなと思っています。
―― キキは一人っ子で育ち、コリコの町でも一人ぼっちですが、そんなキキについてどう思いますか。
上白石 知らない町で、住むところから自分で探さなきゃいけないっていうのは不安だと思いますね。キキは途中からパン屋のグーチョキパン店で寝泊まりをさせてもらうんですが、それまではどれだけ不安だったんだろうって想像すると計り知れないですね。
私も東京という知らない街で、ビルは高いし、電車は速いし、人も多いしっていう感じでした(笑)。なので、そういう部分というのは、思い出しながら演じられるのではないかと思います。
―― 上京したときの実体験を活かせると(笑)。キキは黒猫のジジが一緒ですね。
上白石 心強いですね(笑)。キキは慌てん坊でおっちょこちょいな部分がある子ですが、ジジはそれを、「ちゃんとしろよ!」と、お母さんみたいにしっかり支えてくれるイメージです。そういう存在が近くにいてくれるという意味で、本当に頼もしいパートナーですよね。
―― お話からキキと多くの共通点があるとのことでしたが、どんなキキを演じたいなどありますか。
上白石 本からそのまま抜け出してきたキキも魅力的だと思うんですが、私が演じることで、もっと生き生きした部分や人間味を出していきたいと思っています。舞台を観ている人がキキの想いに共感して、応援したいなって思ってもらえるようなキキを演じたいと思いますし、私自身がそういうキキとして生きたいです。
―― 今回共演でコリコの街に住んでいる学生のトンボ役の阿部顕嵐さん(ジャニーズJr.)、パン屋のおかみさんのおソノ役で元宝塚歌劇団の星組と雪組でトップ娘役を務めていた白羽ゆりさんとご共演されます。阿部さん、白羽さん、それぞれの印象を教えてください。
上白石 阿部さんに「キキです」って挨拶をしたら、「トンボです」と返してくださったので、役になりきって仲良くやりたいと思っています。
―― 白羽さんは宝塚歌劇団で活躍し、退団後も舞台やテレビなどで活躍され、女優としては大先輩にあたるわけですが、今回のミュージカルを通して学びたいことなどはありますか?
上白石 今回の舞台が2回目なので、まだまだ分からないこともたくさんあります。前回の『赤毛のアン』は、初めてという事で舞台がすごく大きく感じ、周りが見えていないことが多々あったと思います。今回はその反省も活かしていきたいと思いますし、歌への気持ちの込め方など舞台上での表現の仕方を学びたいと思っています。
―― 最後にミュージカルを楽しみにしているファンの方に、メッセージをお願いできればと思います。
上白石 キキが一人前の魔女になるために、いろいろな葛藤と向き合うシーンもありますが、たくさん笑えて、ほろっと泣けてしまうようなシーンもあり、素敵な舞台になると思うので、皆さんぜひご覧になってください。
・上白石萌歌(かみしらいしもか)
2000年鹿児島県生まれ。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションで、当時最年少の10歳(小学5年生)でグランプリに選ばれ芸能界入り。同年9月号から、雑誌『ピチレモン』の専属モデルとして活躍。2012年2月ドラマ『分身』で女優デビュー。2016年にはミュージカル『赤毛のアン』で主演・アン役を務め、キリン「午後の紅茶」のCMや2017年公開、映画『ハルチカ』などに出演し注目を集めている。
ミュージカル『魔女の宅急便』
<東京公演>
■会場:新国立劇場 中劇場 (東京都)
■日程:2017/6/1(木)~17/6/4(日)
<大阪公演>
■会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ (大阪府)
■日程:2017/8/31(木)~17/9/3(日)
■原作・監修:角野栄子 (「魔女の宅急便」福音館書店刊)
■脚本・演出・振付:岸本功喜
■作曲・音楽監督:小島良太
■出演:
キキ:上白石萌歌
トンボ:阿部顕嵐(ジャニーズJr.)
コキリ:岩崎ひろみ
オキノ(Wキャスト):横山だいすけ/中井智彦
フクオ(Wキャスト):藤原一裕(ライセンス)/なだぎ武
おソノ:白羽ゆり
<内容紹介>
お母さんは魔女、お父さんは普通の人、そのあいだに生まれた一人娘のキキ。
魔女の世界には、十三歳になるとひとり立ちをする決まりがありました。
満月の夜、黒猫のジジを相棒にほうきで空に飛びたったキキは、不安と期待に胸ふくらませ、コリコという海辺の町で「魔女の宅急便」屋さんを開きます。
落ち込んだり励まされたりしながら、町にとけこみ、健やかに成長していく少女の様子を描いた不朽の名作。