私は伊集院少尉。冬星は繊細なので、気を使いそう
(C)大和和紀『はいからさんが通る』/講談社
―― 『はいからさんが通る』は、伊集院少尉や冬星を始めとした多くのイケメンが出てきます。当時は伊集院派と冬星派の2大派閥に分かれていたみたいですが、大和先生はどなたが一番お気に入りですか?
大和:やっぱり伊集院少尉が一番良いでしょうね。女性にとっては都合のいい男?何でもやらせてくれそうだし、良いんじゃないかなと。冬星はちょっとこっちで持ち上げて、ヨイショしなくちゃいけないかも!でも、男性キャラクターは、私自身の好きなタイプをそれぞれ描いただけなので、嫌いなキャラクターはいません。そもそも、伊集院少尉みたいな人はいないですからね。光源氏と同じくらい現実性がないです(笑)。
―― なるほど。では、大和先生は伊集院少尉派なのですね(笑)。アシスタントさんの方々は冬星派が多かったみたいですが。
大和:私は伊集院少尉ですね。冬星は少し繊細な人なので、こっちが気を使うかなぁと。
憂いをもった美形で大人の魅力があるんですよ。なので、伊集院少尉よりも大人の支持が多かったように思います。一方、伊集院少尉は王道なカッコよさもあり、若い子から人気がありました。
―― 『はいからさんが通る』の本編自体は、関東大震災の直後に紅緒と伊集院少尉が結ばれる所で終わり、番外編で冬星や蘭丸、鬼島の話があります。ファンの方は少尉と紅緒夫婦の息子、秋星や鬼島と環(たまき)の関係性が気になると思います。番外編の続編や違うシリーズの番外編を描こうという構想はありますか。
大和:先ほどもお話しましたが、絵自体が変わっているので多分描けないと思います。当時、『はいからさんが通る』本編が終わって寂しいいう読者たちのために番外編を描きました。視聴者全員が伊集院少尉を好きなわけではないので。他のキャラクターのファンの方たちのケアとキャラクター達のフォローですね。
―― ケアというとやはり冬星の話ですかね。
大和: 彼の場合は読者の勢いからして、下手な女とくっつけたらマズいというのがあったので、男となら問題ないだろうと(笑)。
―― 今ではBL作品含めてわりとそういう作品もあります……。
大和:竹宮惠子さんの『風と木の詩』や山岸凉子さんの作品などでありましたら、格別に目新しいことはありませんでした。当時はまだ、BLの地位は確立してはいませんでしたけど。