2017年10月17日、自身の14回目の誕生日にデビュー作を出版し、出版界を驚かせた新人作家がいる。
その名は鈴木るりか。2003(平成15)年生まれの彼女は、小学館が主催する「12歳の文学賞」で史上初3年連続、大賞を受賞したという経歴の持ち主だ。
今回電子書籍ランキング.comでは、「12歳の文学賞」選考委員のあさのあつこ氏、石田衣良氏、西原理恵子氏が大絶賛したという出版界のダイヤモンドの原石に直撃インタビューを試みた。
『ちゃお』を一生分買いたくて、応募した
―― デビュー作『さよなら、田中さん』の出版おめでとうございます。
鈴木るりかさん(以下、鈴木):ありがとうございます。
―― 今まで書いてきた作品が1冊の本になったお気持ちはいかがでしょうか。
鈴木:一作目を書いた当時は、まさか後に本になって世に出るとは夢にも思っていませんでした。
今は、出版された嬉しさはもちろんありますが、読んだ方からどんな感想が返ってくるのか、ちょっと怖い気もしますが、とても楽しみです。
―― 今回本を出版したというのは、学校の先生やお友達は知っていますか。
鈴木:はい。学校の先生の中には、複数冊買ってくださった方もいるそうです。
友達が買おうとしたら書店では売り切れていたとかで、Amazonなどのインターネットで買ってくれたそうです。
―― 今回の作品は小学生限定の新人公募文学賞「12歳の文学賞」で大賞を取った作品を基にされている本だとお伺い致しました。この賞に応募されたきっかけは何だったのでしょうか。
鈴木:この大賞の副賞がパソコンと図書カード10万円だったんです。
図書カード10万円分もあったら『ちゃお』が一生分買えると思って、応募しました。
―― 『ちゃお』を手に入れる方法としては、他にも色々な方法があると思いますが……。
鈴木:『ちゃお』が好きだったんです。小学校3年生の時に4コマ漫画を書いて投稿したこともあります。
『ちゃお』はちょうど小学校3年ぐらいから読み始めたのですが、風邪を引いた時にお母さんが買って来てくれたのがきっかけで読むようになりました。
―― 「12歳の文学賞」応募以前には、4コマ漫画を描いた事があるということでしたが、それまでに小説を書いた経験はあったのでしょうか。
鈴木:全くなかったです。頭にイメージしたことをただただ文章に書き起こしました。
「12歳の文学賞」の存在を知ったのは応募の締め切り当日だったのですが、原稿用紙11枚を半日ぐらいで書き上げました。
―― 結果、初の応募作でいきなり大賞を受賞しました。大賞が決まった時の心境はいかがでしたか。
鈴木:嬉しかったですが、「え、あれが?」みたいな気持ちが大きかったです。というのも、半日ぐらいで書き上げた作品だったので。
―― 短い時間で書いたものが大賞を取ってしまって驚いたと。
その後は、6年生まで3年連続で大賞を取りました。大賞を取った翌年以降、応募する時はどんな心境でしたか。
鈴木:あんまり何も考えず応募しました。大賞とかは取れればいいやぐらいの気持ちでいました。
―― なるほど。「12歳の文学賞」は、来年3月に発表される第12回で終了します。
るりかさんが今回デビューするきっかけにもなった賞ですが、そういった賞が無くなってしまうのはいかがでしょうか。
鈴木:残念ですね。この賞で育てて貰ったというのもありますし、もっと多くの人に応募して貰いたかったなぁーと。
仲間を得るじゃないですけど、そういったチャンスがなくなってしまうのは残念だなと。