期待の新人女優として、多くの映像作品・映画作品への出演が続く芋生悠。
本人曰く、「ターニングポイントになると直感した」という舞台への出演が、10代最後の秋に決まった。
そして、2月3日にその舞台への奮闘した様子を撮影したフォト・ドキュメンタリー『はじめての舞台』(撮影 : 岩澤高雄)が発売される。
初の写真集を記念し、はじめての舞台に向き合い、女優として成長していった秋のことを芋生悠さんに振り返ってもらいました。
また、女優を目指した原点から、プライベート、今後の目標までをお伺いしました。
20歳になった「現在」の芋生悠さんが詰まっているインタビューです。
初めての写真集と初めての舞台が同じタイミングで来たのは、人生のターニングポイント
―― 1st写真集『はじめての舞台』ですが、10代最後に撮影した写真集となっています。出来栄えとしてはいかがでしょうか。
芋生(以下、芋生) 10代のうちに写真集を出すというのが夢だったので、お話を頂いた時は嬉しかったです。何を題材に撮影するかというのを考えている時に、ちょうど初めて舞台への出演が決まりました。初めての写真集と初めての舞台が同じタイミングで来たっていうのは、自分にとっての人生のターニングポイントになるんじゃないかっていうのを感じました。
ワクワクした気持ちでやっていたのですが、舞台への緊張感みたいなものが全部詰まっている一冊になっています。ですので、見た方にはドキドキしてもらえるんじゃないかなと思っています。自分も写真を見ていると、舞台の期間のことを思い返して、凄い緊張します。それだけリアルな様子が詰め込まれているのは、この写真集が初めてなんじゃないかぐらいの気持ちはありますね。
―― 今回の写真集の企画は、初舞台までを密着したフォトドキュメンタリーになっています。この企画になった時の気持ちを教えてください。
芋生 普段はなるべく自分のイメージを作るみたいな感じでやっているので、見せてはいけないものを見せちゃうんじゃないかっていう不安はありました。でも、逆にそれがリアルさを出していて、自分の見た事のない表情とかも見れるのではという気はしていました。実際に新しい発見が沢山ありましたしね。
―― 新しい発見というと……
芋生 例えば自分が集中している時の顔とか。その集中している時の顔ってそんな撮られる事ないじゃないですか?
―― そうですね。
芋生 その時って、完全にオフの状態なんですよ。周りが見えていなくて、自分に没頭しているみたいな。普段の撮影だとカメラマンに撮られているという意識があるんですけど、そういうのが全くなくて。それが、凄い良かったですね。オフの時ってこういう顔しているんだというのを知ることができました。
―― 写真集のおかげで改めて自分を客観的に知ることができたということですね。
芋生 そうですね。役者をやらせていただいて2年ぐらい経つのですが、この舞台にかける想いは凄く強くありました。その表情を切り取ってくれたっていうのは凄い嬉しかったです。そういう意味では、大事な写真集になるんだろうなって思っていますね。
―― 今回のカメラマンさんは岩澤高雄さんですが、フォトドキュメンタリーなど密着取材で撮影されるのが得意な方だとお伺い致しました。実際に撮られてみて、岩澤さんはどんな方でしたか。
芋生 岩澤さんはずっと密着して撮影する方だからこそ、距離感に気を遣ってくれていたみたいです。私の機嫌がちょっとでも悪いなって時は、察して離れて撮影してくれたみたいです。本来ならそういう機嫌が悪い時こそ近くで撮影したいところを、読み取って行動されているのが、人として尊敬します。
―― 「1ページ先の人生を信じ、次のページに裏切られて泣く。そんな女優です」という帯文は、今回出演された劇団山田ジャパンの主宰であり、脚本家の山田能龍さんです。
芋生 めちゃくちゃ嬉しかったですね。能龍さんは、演出の時も割とジョークを入れたり、褒めつつ演出して下さる方だったんですけど、私だけ全然褒められた記憶がないんですよ。自分は能龍さんが初めての舞台の演出家さんだったので、尊敬していて、大事な人なんですが、こうやって言葉をくださったのは、めちゃくちゃ嬉しかったですね。
―― 山田さんが書いてくれた帯文を読んでみていかがですか。
芋生 役的にも次の動きを読むのが難しい役だったのですが、実際の自分も行動に予測不可能で、次にどう動くかみたいなのを考えていない、見切り発車なタイプです。この舞台を通して能龍さんが感じたことや写真集自体を読んで感じたことを言葉にしてくださったのかなと思いますね。
―― なるほど。今回は題字を自分で書いたということですが。
芋生 題字を自分で書くというのを聞いて、ずっと書道もしていたので、やってみたいなと。私の叔母が書道の先生なんですけど、「ちょっとこの字を書きたいんだけど。」って連絡して。そしたらすぐ見本を送ってくれました。で、それを見ながら書いて送ったのですが、めちゃめちゃダメ出しされて。
かなり細かいところまでダメ出しされて、15回ぐらい書きました。本当に厳しくて、最終的には私が「もうこれで行く」っていうのを題字に使ってもらいました。
―― 筆で書かれたということもありますが、インパクトがありますよね、タイトルに。
芋生 そうなんです。これがポスターになっているのをみて、めっちゃカッコいいなって。この中央の写真は千秋楽が終わった後、ホッとしている表情なんです。全部終わって、緊張感のないシュンとした感じのところに、「これから頑張りたいな」って想いで書いた字が入っているのが凄いカッコいいですよね。
芋生悠 初写真集『はじめての舞台』より
―― 今回の写真集の中でお気に入りのカットを教えてください。
芋生 お気に入りのカットはこれですね。これはゲネプロ中の写真なんですけど。ゲネプロは、お客さんを入れたので、そのゲネプロが私の初舞台がみたいに感じて、凄い緊張したんですよ。この写真は、本当にこんな表情するだっていう感じですね。凄い瞬間を撮られているなって。
芋生悠 初写真集『はじめての舞台』より
―― なるほど。
芋生 これ多分、スポットライトが当たっている時なんですよね。恩田陸さんの作品に『チョコレートコスモス』という普通の女の子が舞台に上がる話を書いた作品があって好きな作品なのですが、自分がその主人公のように舞台に上がれることが凄い楽しみでした。「ああいう奇跡起こるかな?」みたいなのを期待していました(笑)。
―― 他に「これも撮られていたの?」みたいな写真あります?
芋生 これとかですね。稽古場所を3つくらい移動したんですけど、その最後の稽古場所のですね。今まで映像での演技だったので、声もみんなより出ていなくて。で、声を出そうとするとうまく表現出来ないっていう葛藤が凄くありました。気持ち的に追いこまれていたこともあって、この時はかなり集中していましたね。
芋生悠 初写真集『はじめての舞台』より
―― 電車に乗っているシーンやカフェに行っているシーンなどもあります。
芋生 そうですね。稽古場所への行き帰りですね。マスクしているのもあって、それが面白いかなと。喉を痛めないようにマスクをつけていたんですが、そういうところがリアルですよね。