「マンガを肴(さかな)に酒が呑みたい」という熱い想いから発足に至った「マンガ大賞」。「マンガ大賞」とは、有志による選考委員たちが、人にオススメしたくなる「今一番フレッシュなマンガ」を投票で決定するマンガ賞だ。今年も3月に、大賞の『ゴールデンカムイ』を含めノミネート作品11作品を発表した。
今回は、その「マンガ大賞」の発起人である吉田尚記氏にインタビュー。「マンガ大賞」はどうやってできたのか。また、アニメ、落語、アイドルなどにも詳しく、業界きってのオタクとしても知られる吉田氏の読書術や、愛用している電子書籍リーダーのご紹介など、読み応え抜群の内容でお届けしよう!
—本日はよろしくお願いします。まずは、吉田さんのご経歴やお仕事など、ご紹介をお願いします。
2秒で答えるなら、ニッポン放送のアナウンサーと答えるんですけど。すごくいろんなことをやっています。『ミュ〜コミ+プラス』はアナウンサー業務ですよね。アナウンサーって言ってもいろんなタイプがいて、放送にでる人という仕事は一応そこで果たしているというかんじなので、どちらかというとパーソナリティと言った方が早いですよね。
—『ダ・ヴィンチ』で宇野常寛さんと対談されていたりとか、多種多様なお仕事されているイメージがあるのですが。
そうですね。今、連載をいろいろやらせてもらっています。雑誌『ダ・ヴィンチ』、『日経エンタテインメント!』、『デジモノステーション』、フリーペーパー「アニカン」など。あと、白泉社の『kodomoe』。それは、アドラー心理学の子育ての対談をやっていて。
NHKの『ニュース シブ5時』という番組で『ラブライブ!』をニュース現象として特集するので、スタジオでしゃべってくれるコメンテーターが欲しいというお話をいただいたこともありました。他局のアナウンサーの僕になぜって思いました(笑)。NHKから見ても他社。『ラブライブ!』を制作している放送局からみても他社ですから。打ち合わせのとき、報道ディレクターの方に、「まずは『アイドルマスター』っていうのがあって……」と説明させていただきました(笑)。
—それは、さすが吉田さんらしいお仕事ですね。
ありがたいですよね。
なにかみんなが納得する枠みたいものが、あったらいいんじゃないかなと思っていた
―そんないろいろなお仕事の中で、「マンガ大賞」の発起人でいらっしゃることについてお伺いしていきます。発起人の吉田さんは、委員長を務められているのですか?
委員長じゃないですよ! 委員が並列で今8人いるんですけど、委員長はもともと誰もいないです。僕言い出しっぺなだけなんです。
―すみません、失礼しました! では、そのマンガ大賞の言い出しっぺとして、どういうふうに選考委員会をつくられていったのでしょうか?
はい。それこそ、「マンガ大賞」は来年で10年になります。
―早いですね。
あっという間ですね、本当に。その「マンガ大賞」が始まる一年前に、ニッポン放送の番組『ミュ~コミ+プラス』の前身の『ミューコミ』っていう番組が始まったんです。音楽とマンガの番組だったので、書店をずっと回っていたんですね。それで、書店員さんと話して仲良くなっていくうちに、ふと「本屋大賞」のマンガ版がないなって思ったんですよ。
「講談社漫画賞」、「小学館漫画賞」や「手塚治虫文化賞」といった賞はありますが、「本屋大賞」のような書店員さんが選ぶ賞はない。なにかみんなが納得する枠みたいものがあったらいいんじゃないかなと思っていた僕は、「どうしてやらないんですかね」と書店員さんたちに聞いたら、「どこかの書店チェーンや雑誌がやると、その書店チェーンや雑誌のものになっちゃうから。あと、面倒だからじゃないですか」と言われて。それで、「なら、面倒と思わなければできますね」ということで始めました。
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