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インタビュー企画第4回
「マンガ大賞」の発起人、ニッポン放送アナウンサー・吉田尚記氏
2016年5月10日


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本屋って本質的にはテーマパークだと思うんですよね

—普段から電子書籍を読まれていて、こういうところが課題だなって思うところはありますか?

電子書籍を今こうして利用するようになって、いいところはかさばらないこと。
課題は、本当の意味でハイパーリンクを貼ってないところですね。例えば、電子書籍に脚注があるというのはもう意味がない。
宇野常寛さんはそこをすごく意識してると言ってたなあ。例えば、『魔法の世紀』は、昔だったら「脚注を全部つけろ」みたいなことを、言われていたと思うけど、今はそんなことはググりますからね。
脚注に載せられている3〜4行の情報より、わかんない言葉があったらググった方がいいはずなんですよ。本というのは、あの形にロマンも歴史もメリットもあるのはわかります。だけど本来はそうじゃなくて、人の知識や意識の体系じゃないですか。それらはどんなふうになってもいいはずなので、今は組み替えなきゃいけない時代なんだろうなと思うんです。

いろんなものがサブスクリプションになってるじゃないですか。映画や音楽や雑誌も。でも音楽がサブスクリプションになってうまくいっている話を聞いたことがないので、本もサブスクリプションになればうまくいくかというとわからない。

 

—最後に、「マンガ大賞」の運営をされている中で、吉田さんが今後の出版業界や電子書籍に関して思うことがあれば、教えてください。

うーん……。とりあえずユーザーからすると、読んだことのない面白いものが読みたいんですよ。同じような本は読みたくないので、一冊あればいいですよという。例えば、『君に届け』がヒットしたら『君に届け』の亜種みたいのがいっぱい出てきて。せめて『俺物語‼︎』ぐらいまで振り切ってくれたら、新しいってなるじゃないですか。

でも日本人は、世界の中でも本にお金を出す人たちですからね。聞いた話なんですけど、「成長する国には本屋に人がいっぱいいる」と。「あー、なるほどな」と思いますね。

 

—そうすると、どんどん本屋から人が消えてっている日本は……。

だからやばいんですよ、このままだと。でも小さい本屋じゃなくて、大きな本屋は今でもたくさんの人で溢れていますよね。本屋だけど、本屋的な機能を持ったテーマパークみたいな! 例えば、千駄木にある「往来堂書店」は、「往来堂の文脈棚」ってよく言われているじゃないですか。独自の書棚づくりをしている本屋が街に一個ずつあればいいのになあと思うんですけどね。どこも判で押したように同じような本屋よりも、1階はそれでもいいけど、2階から上は、それぞれ全部違う本屋とか。やっぱり神保町は、本屋がそれぞれ違うじゃないですか。だから行く甲斐がある。
もう本屋って本質的にはテーマパークだと思うんですよね。だからそういう本屋さんがこれからもっと増えていったらいいなあ。

 

吉田尚記(よしだ・ひさのり)
1975年、東京都生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ニッポン放送アナウンサー。『ミュ〜コミ+プラス』(月〜木曜日24時より放送中)のパーソナリティを務め、2012年に「第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞」を受賞している。また、アニメ・声優、アイドルのイベントの司会を務め、自著『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』は12万部を超えるベストセラーに。自身がアイコンとなったカルチャー情報サイト「yoppy」(http://www.yoppy.tokyo/)が4月より展開中。
「マンガ大賞」WEB http://www.mangataisho.com/



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