秋田書店初の「マンガ大賞」受賞作に輝いた、『BEASTARS』。それだけでなく、本作は「第22回 手塚治虫文化賞 マンガ部門新生賞」や「第42回講談社漫画賞 少年部門」など、数々の漫画賞を受賞している。
本作は登場人物を擬人化させていることもあり、人間同士の対立や争いをはじめ、ヒト科が抱える様々な問題を映している。時々、ハッとさせられることも少なくない。
電子書籍ランキング.comでは、漫画賞を総なめしている、本作の作者・板垣巴留(いたがき・ぱる)さんにお話をお伺いしました。是非、ご覧ください!
©板垣巴留(秋田書店)2017
(『BEASTARS』について)テーマは全て普遍的なものなので、意外と多くのヒト科が読みやすい
――「マンガ大賞2018」(以下、「マンガ大賞」)受賞おめでとうございます。受賞されることを事前に知らされてから、当日までどのような心境でしたか?
また、昨年のノミネート時との心境の違いを教えてください。
板垣巴留(以下、板垣) : ありがとうございます。私は大学受験の時、先生に「受験した後は落ちたと思っておけ」と言われたのを強烈に覚えていたので、ノミネートされた時すぐに「受賞できなかった」という気持ちに切り替えました。なので、担当さんから「マンガ大賞」の受賞を電話で知らされた時は、なかなか実感が湧かなかったです。
――今回、秋田書店初の「マンガ大賞」受賞作になりました。編集部からのお祝いパーティなども開いて頂いたみたいですが、他にも受賞を祝う印象的なエピソードなどございましたか?
板垣 : 製本所さんから、『BEASTARS』全巻のハードカバー版を特別に作って頂いたのが嬉しかったです。プロの大人たちが、気持ちいっぱいのお祝いをしてくれたのを感じました。ハードカバー版は仕事場に飾っています。
©板垣巴留(秋田書店)2017
――授賞式で受け取ったプレートに寄せられた、書店員さんからのコメントで印象的だったものを教えてください。
板垣 :「悩むこと、考えることをやめたらケモノになる」というコメントです。このコメントを見た時、一瞬この漫画のアオリ文のように読めましたが、よく考えると全人類に向けられたコメントだなと感動しました。
――「マンガ大賞」を受賞した理由をどのようにお考えでしょうか?
板垣 :私は自分の作品を客観視するのがとても苦手なのですが……。動物の漫画だけど描いているテーマは全て普遍的なものなので、意外と多くのヒト科が読みやすいものにはなっていたのではと思います。
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